ブラインドサッカー日本代表のエース、川村怜(26=Avanzareつくば)が21日、東京・八王子市の強化合宿に参加し、16年リオデジャネイロ・パラリンピックでのメダル獲得を宣言した。

 合宿2日目。雨が降る中の紅白戦で川村が先輩選手やスタッフに積極的にコミュニケーションを図る姿が目立った。9月には、都内でリオ大会の出場権2枠を懸けた「アジア選手権」が開催される。川村は「アジア選手権は全勝して、リオへの切符をつかみます。出場するのは通過点で、メダルを獲得します」と意気込んだ。

 同じクラブチームにはブラジル・サンパウロ出身の日系3世で、13年末に日本国籍を取得した佐々木ロベルト泉(37)がいる。「ロベの母国であって、サッカー王国ブラジルで戦えるのは1つのチャンスだと思う。リオで必ず結果を残して、20年の東京五輪につなげたいです」。

 13年3月、アテネ大会から3連覇中の強豪ブラジルと親善試合を行った。1-2で惜敗し、終盤に川村がゴール左隅にシュートを決めて1点を返した。「強豪国との力の差は縮まっている。チームも成熟されて、あとは1つ1つのプレーの質を上げるだけ。ブラジルとの差はあるかもしれないが、勝てない相手ではない」と語った。

 大阪府東大阪市出身。7歳の時に頭部を強打し、目の病気である「ブドウ膜炎」の症状が悪化した。視力が急激に低下する中、憧れの元日本代表中山雅史氏(47)を目標に少年サッカーを続けた。中学進学を機に接触プレーが多いサッカーを断念し、陸上部へ入部。07年に筑波技術大へ進学し、ブラインドサッカーと出合い、約6年ぶりにサッカーを再開した。「まさか、自分が、大好きなサッカーの日本代表になるとは思わなかった。代表としての意識や責任を感じるようになり、食事や生活も変わりました。大学で出会えたブラインドサッカーに感謝です」。

 ブラインドサッカーは視覚障害者と健常者でプレーする5人制サッカー。GK以外の選手がアイマスクを着け、危険な接触防止のため、ボールを持つ相手に「ボイ!!」と声をかけて近づく。監督とゴール裏でガイド役の「コーラー」が指示を送り、音と声のコミュニケーションが重要とされる。