松本が勝った。鹿島を完封して連敗を7で止め、J1優勝経験クラブから初めて勝ち点3を奪った。前半17分、相手バックパスをMF工藤浩平(30)がさらって独走。がら空きのGK左に右足で蹴り込んだ。28分には、得意のリスタートからの右クロスをDF飯田真輝(29)が頭で押し込む。連敗を止めた瞬間、膝から崩れ落ちた反町康治監督(51)は「神経が張り詰めた日々の終着駅。勝ち点3以上を導き出す勝利だった」。連敗中でも1万7625人が詰めかけた本拠アルウィンで神妙に胸をなで下ろした。

 前節広島戦は今季最悪の6失点。開き直って原点回帰し、引いて守備を固める過去と決別した。中断期間に獲得した工藤も「バックパスは読み通り」。勇気あるハイプレスとJ通算300試合を超える経験。足りなかった2つの要素が絡み合って決勝弾が生まれた。

 5月16日の神戸戦(2-0)以来2カ月ぶりの勝利と完封。一安心も「明日にはもう始発が出る」と反町監督。喜びはすぐ胸の奥にしまい込んだ。【木下淳】