広島FW佐藤寿人(33)が、鮮やかな節目弾を飾った。神戸戦の前半24分に頭で今季10点目を挙げ、04年から前人未到の12年連続2桁得点を達成した。J1通算得点も155に伸ばし、中山雅史氏(元磐田)の最多記録まであと「2」に迫った。次なる記録に向かって、レジェンド街道を突き進む。アウェー神戸戦は計4発で快勝した。J1は東アジア杯のため中断し、8月12日に再開する。

 敵地が大歓声に包まれた。駆け寄る仲間たち。佐藤はコーナーフラッグを持ち、胸のエンブレムをたたいた。前半24分、DF佐々木からの折り返しを、ゴール右へ頭で押し込み、12年連続2桁得点を達成した。

 「幸せなこと。自分が積み重ねてきた記録だからこそ、ストライカーとして満足することなく次々と貪欲にやっていきたい」

 1点の重さは誰よりも知っている。記録に王手をかけていた前節ホーム横浜戦。佐藤は「流れの中で決めたいから」とFWドウグラスにPKを譲った。「でも3時間ぐらい悩んで、試合後全く寝られなかった。1点は1点だったんじゃないか、と」。しかし、この日もPKを蹴らなかった。前半終了間際、弟分のMF野津田がドリブルで仕掛けて倒され、PKを獲得。これを決めれば、中山氏の持つ最多得点に王手をかけられたが「ガク(野津田)が自分で取った。拓磨(浅野)と切磋琢磨(せっさたくま)するには(得点の)数字上競わせたかった」。1点の重さを知っているからこそ、兄貴肌を見せた。

 12年連続2桁得点の大記録。J1に限れば、C大阪に入団したFWエジミウソンが持つ7年連続2桁得点の記録に並んだが「12年という数字には(08年)J2に落ちたときも、広島に残ったという僕の歴史が詰まっている。J2の得点も大事」と誇った。

 これで広島は第2ステージ無傷の5連勝。クラブの不敗記録を11試合へ更新し、年間首位もキープ。森保監督は「まだまだ課題もある。よりパーフェクトを目指していきたい」。エースは自らの記録とともに頂点へと突っ走る。【小杉舞】

 ▼連続シーズン2桁得点 広島FW佐藤が04年のJ2仙台時代から12年連続10得点以上。自身の持つ連続シーズン2桁得点のJリーグ記録を更新した。J1リーグ戦だけに限っても09年から7年連続の2桁。C大阪に加入したFWエジミウソンが新潟と浦和所属時の04~10年に達成した7年連続と並びJ1最長タイ記録となった。