鹿島が最下位山形を下し、第2ステージ首位を堅持した。過去7戦負けなしの「お得意さま」を序盤は攻めあぐねたが、老練な集団は焦らない。前半40分にFW金崎が頭で先制弾。ようやく打ったチーム2本目のシュートを確実に決め、11年7~8月以来4年ぶりの5連勝を飾った。

 先手を取った後は、相手の出方をうかがい点を加えた。後半12分に「3手」で2点目を奪う。高い位置で相手のパスミスを拾うと、中央のMF土居が右サイドに素早く展開。MF遠藤康(27)が利き足と逆の右足でクロスを送り、最奥に走り込んだMFカイオが無人ゴールに押し込んだ。同29分には、カイオのパスを受けた遠藤が左足でダメ押しミドル。最下位相手にシュート数で下回った(7対11本)が、少ない手数で3点を積み上げた。

 就任後5戦全勝の石井正忠監督(48)は「先発11人、ベンチ入り18人、それ以外の全選手が役割を果たしてくれている」と納得した。先発が同じだった試合はなく、1得点1アシストの遠藤は「練習から意欲的。でも石井さんやチームへの犠牲心があるから、単なるアピールにならず雰囲気がいい」。試合前日には、石井監督の意向で練習を見学するサポーターとチーム全員の記念撮影を始めた。指揮官が自宅近くで採取したカブトムシ20匹を子供に贈るなど、ピッチ内外に一体感がある。

 主将のMF小笠原が左太もも裏の張りで先発を回避しても、代わった山村や初主将のDF西が締める。歯車がかみ合っての完封劇で首位キープ。第2ステージ最多タイ3度の優勝を誇る鹿島が、得意の後半戦の先頭を突っ走る。【木下淳】