G大阪MF二川孝広(35)が、意地の今季初ゴールを決めた。ホームでの第1戦は名古屋に引き分け。日本代表に4選手が招集され、大黒柱のMF遠藤も欠場。今季は出番が激減した生え抜きのベテランが先発し、千載一遇のチャンスで結果を出した。ホームアンドアウェー方式の第2戦は6日に開催される。

 無口な男が、右足に思いを込めた。前半6分。ゴール前の二川は、FWリンスからボールをもらうとDF2人に囲まれた。わずかなシュートコースを見つけると、小さな足の振りで迷わずに蹴った。「シュートしかないと思ったので思い切り蹴っただけ」。公式戦では昨年10月15日の天皇杯大宮戦以来のゴールだった。

 かつてG大阪を支えた背番号10だが、今季のリーグ戦は第1ステージ(S)1試合に途中出場しただけで、第2Sは全試合ベンチ外。それでも愚痴や不満は言わない。この夏、周囲から移籍を勧められても、ユース時代を含め20年も在籍するクラブで骨をうずめる覚悟を決めた。モヤモヤが晴れない日は、近所のサッカースクールに出向いて小学生と本気でボールを蹴ることもあった。

 代表勢に加え遠藤主将も欠場した第1戦で、長谷川監督は「(明神を含め)彼らがいたから、次につながった」と感謝。華やかさとは無縁の男が、ドローゲームを彩った。【益子浩一】