清水は山形に競り勝ち、11試合ぶりの勝利を挙げた。前半14分にMF沢田崇(24)のリーグ戦初ゴールで先制。後半32分には途中出場のFW鄭大世(31)が追加点を決め、相手の反撃を1点に抑えた。J2降格が決まった同士の一戦で就任後初勝利の田坂和昭監督(44)は「初めて自分がやりたいサッカーをできた」と満足げに振り返った。

 意図した連動攻撃が形になった。前半から敵陣で複数人が絡み、小気味いいパスワークを展開した。右サイドを崩してリード。その後も中盤でボールを支配しながら、長短のパスで相手を揺さぶった。人とボールが動くスタイルが、チームが目指していた形。沢田は「練習でやったことがうまく出せた」と胸を張った。

 前節柏戦の敗戦後、チームは2週間かけて攻撃の連動性を高めた。指揮官は攻撃時のテーマに「密集」を掲げ、選手間の距離を近づける意識を植え付けたという。後半32分には自陣からパスで崩し、沢田の縦パスをMF枝村匠馬(28)がそらして、最後はFW鄭が右足で追加点。理想の展開に田坂監督は「選手がよく体現してくれた」と手放しでたたえた。

 来季J2で対戦する相手を下し、第2ステージ順位も最下位から脱出。沢田は「ずっと勝てていなかったので今日の勝ちは自信につながる」と言った。今季残は1試合。来季へ光明を見いだした清水が、連勝締めを狙う。【神谷亮磨】