2位磐田がJ1自動昇格に近づいた。ホームで長崎に先制されるも、序盤で追いつき快勝した。次節、横浜FC戦に勝ち、3位の福岡が敗れるか引き分ければ、自動昇格の2位以上が確定し、2年ぶりのJ1復帰が決まる。首位大宮との勝ち点は2差になり、優勝も射程圏内。チームは今季初の4連勝で、2003年シーズン(J1)以来となるクラブ記録タイの11戦負けなしとなった。

 どんよりとした雨雲を吹き飛ばすように、サックスブルーの戦士が次々とゴールネットを揺らした。1点を追う前半7分、MFアダイウトン(24)が相手DF3人の間を通すクロスを入れ、最後はFW森島康仁(28)がトラップから左足を振り抜いて追いついた。「同点弾は目立たないけど、自分にとってはいいゴール。チームに貢献できてよかった」。

 今季、川崎Fから期限付き移籍。FWジェイ(33)がエースに君臨するが、名波浩監督(42)は、練習中から人一倍大きな声で盛り上げ役に徹する森島にも、期待を寄せてきた。自分の役割を知る男は、両足をつって後半19分にベンチに下がっても、大きなジェスチャーと声を発し続けた。

 全員が勝利を信じていた。前半17分のアダイウトンのゴールで逆転し、後半も2得点。今季20得点のジェイが不在でも、大量4得点を奪った。ダメ押しの4点目を決めたDF宮崎智彦(28)は「エースなしで取れたことは、自信になる」と胸を張った。

 逆転勝利は、今季7試合目だ。名波監督は練習のミニゲームでも、負けチームに罰走を課すなど、常に勝ち負けを意識させている。宮崎は「去年と比べて、メンタルが前向きになった。名波さんの力だと思う」と話す。11試合負けなし、4連勝を決めた後、ロッカールームで、大宮が引き分けたことを知らされた選手たちは「これは行くしかないでしょ!」と盛り上がったという。その上で名波監督は言った。

 「上昇気流を逃したら、もったいない。プロスポーツ選手としてというよりも、人として、人生としてもったいない。残り2試合、勝ち点6しか考えていません」

 2年ぶりのJ1復帰、そして優勝のビッグチャンスをつかみ、磐田が強さを増している。【保坂恭子】