【モンテレイ近郊(メキシコ)5日(日本時間6日)=佐藤成】サッカー日本代表MF田中碧(27=リーズ)は被災地の思いを背負って2度目の大舞台に挑む。復興支援のために2度足を運んだ能登半島で知り合った輪島塗の関係者からプレゼントされたすね当て(=レガース)を披露。込められた思いを明かした。前日に続き、MF遠藤航はホテルで別メニュー調整した一方で、DF吉田麻也がサポートプレーヤーとして合流した。
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練習では着用しないすね当てを田中が大切そうに公開した。黒地に金色と銀色の鳥が描かれている。
「2年間、2回くらい行かせてもらって、ここの漆塗り、輪島塗をやっているところにも足を運ばせてもらって、八咫烏(やたがらす)と鳥とで、やってもらった」
田中が「行かせてもらって」と表現したのは石川・能登半島。24年1月1日に起きた地震で被災した地域の復興支援を行う。「少しでも何か自分にできることがあれば」。同年と翌25年夏にシーズンオフを利用して訪れた。そこで知り合った縁で特注品を作ってもらった。いろいろなすね当ての中から厳選。表面が平らでないため、塗るのにも相当な時間を要したという。
名前や背番号を入れる案もあった。しかし、輪島塗は模様が特徴であることから、案を出し合ってこの形に。今年5月、制作に約1年かかった完成品を受け取った。「想像のはるか上を超える技術で本当にきれいにやってもらった」と感謝する。
片方の八咫烏は、日本代表のエンブレムにも採用されているシンボル。もう一方は「強く高く飛んでいくというのでフェニックスに」と明かした。自身は今季、クラブで7試合連続不出場を経験。しかし終盤にレギュラーを奪い返したように、逆境からはい上がった姿はまさに不死鳥。再興を目指す能登半島と重なる部分もある。
「W杯デビュー」を心待ちにする。世界に1つだけのレガースはまだ使っていない。用具の着け心地などから従来の製品にこだわる選手もいる。「そんなのであーだこーだ言っているようではだめ」と力強い。「自分たちが一生懸命戦って、何か勇気を受け取ってもらえたら。自分はピッチでしっかりと表現して恩返ししたい」。能登の思いをすねに、W杯で大暴れする。
◆輪島塗 石川県輪島市を代表する伝統的な漆器。日本三大漆器のひとつで、堅牢な塗りと加飾の優美さが特徴だ。精巧なつくりと丈夫さ、優美で華麗な加飾は国内外から高く評価されている。国内合宿中には同市が日本サッカー協会からの復興支援に感謝を込めて日本代表に輪島塗の箸を贈呈した。
◆特注すね当て 過去には元クロアチア代表FWマンジュキッチが自身の名前に合わせて「マリオ」の画像をプリントしたものを特注したり、ドイツ代表MFカールが、憧れるメッシの画像を取り入れた例がある。神戸にも所属した元スペイン代表FWビジャは歴代の所属クラブや家族の写真が入ったオリジナル品を使った。素材は軽くて耐衝撃に優れた合成樹脂が一般的な中、トップ選手は軽さと強度に定評のあるカーボン製を愛用するが、輪島塗のような特別加工は異例。


