広島の快進撃が止まった。チャンピオンシップ(CS)決勝で撃破したG大阪に完敗。エース佐藤も、新星FW浅野も、途中出場した好調FW皆川も、攻撃陣が封じ込まれ無得点。自慢の堅守も崩れ、J発足後の大会初制覇の夢は消えた。2季ぶりにリーグ戦を制し、クラブW杯では世界3位に立った。輝かしい成績を残した今季の最後は、あまりにもあっけなかった。

 森保一監督(47)が漏らした言葉が全てだった。「心身ともに極限状態での戦いでした。疲労困憊(こんぱい)の中、しぶとく勝ち続けて今日の試合までたどり着いたこと、前進し続けてきたことは誇りに思う」。CSの2連戦、クラブW杯を含め、12月は8戦目。しかも本拠地開催だったCS第2戦以外は、全て広島から離れての遠征だった。地方クラブがゆえの現実。それは、想像以上に過酷を極めた。

 佐藤は正直に明かした。「12月はギリギリの中でやってきた。ずっとホテルの食事。家で落ち着いて家族と過ごす時間はなかった。広島に帰ってゆっくり休みたい」。急成長した浅野は「個人的にも自信がついた1年。来年は日本を引っ張る選手になりたい」。戦後70年の節目のシーズン。広島は確かな足跡を残し、15年を終えた。【益子浩一】