新潟は鳥栖に1-0で勝った。リーグ戦を含む今季3戦目でホーム初勝利。完封勝利も初だった。前半こそ、鳥栖の分厚い攻撃にさらされたが、後半30分にMFレオ・シルバ(30)が決勝点となる先制ゴール。MF加藤大(24)とのワンツーから右足でシュートを決めた。

 苦しみの後に歓喜の瞬間は、訪れた。後半30分だ。新潟が均衡を破った。MFレオ・シルバがMF加藤にボールを預けて、空いたスペースに侵入した。十分タメを作った加藤のパスに右足が反応した。放ったシュートは左サイドネットに飛び込んでいく。両手を水平に上げて喜ぶ殊勲者に、FW平松宗(23)が背後から飛びついた。虎の子の1点を最後は守りきった。

 立ち上がりは、運動量の豊富な鳥栖に主導権を握られた。左右のクロスで揺さぶられ危険な場面をつくられた。吉田達磨監督(41)は「クロスボールにピンチがあり、苦しみがあった」と振り返る。鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督(48)は「前半のうちに4、5点取ってもおかしくない展開。惜しい、惜しいで、形にできなかった」と嘆いた。そんな分厚い攻撃に耐えて、今季ホーム初勝利、初完封をつかんだ。

 鳥栖は1次リーグ第1節の23日は試合がなかった。一方、新潟は中3日の強行スケジュール。「連戦で勝てたのが大きい」とレオ・シルバは話した。集中力が途切れても、おかしくない時間帯に絶妙なコンビネーションでゴールは決まった。アシストした加藤もゲームに没頭。集中力は欠けていなかった。「パスをもらう前からスペースは見えていた。“うまく走り込んでくれ”と思ったところに走り込んできた。あとは(パスを)通すだけだった」。決定機を冷静に振り返った。

 今季、未勝利だったホームで無失点の快勝。「待ちに待った(ホームの)勝利。サポーターの応援に応える勝利だった」と、レオ・シルバ。1万2427人の応援に後押しされた。吉田監督は「(デンカSでの勝利に)山を1つ越えた。また次に向かっていく」と、この日の勝ち点3をチームの“肥料”にする覚悟を見せた。【涌井幹雄】