浦和の日本代表DF槙野智章(29)がラジオの冠番組を持つことになった。FM NACK5で毎週土曜日午前6時40分から「浦和レッズ・槙野智章 マキスタ~頑張る時は、いつも今!」が6月からスタート。19日に初の収録に臨んだ。

 13年にも同局で冠番組を持ったが、今回はプロのパーソナリティーとの共演ではなく、基本的にひとり語りで完結させる。スタジオ入りした槙野は、さして緊張した様子も見せず、すぐに収録に入った。

 手元にはテーマを箇条書きしたメモ。軽く視線を走らせる程度の、ほぼノールック状態で、どんどんトークを展開していった。立ち会った同局スタッフは「慣れていないと、話すペースが駆け足になってしまう。プロの話し手でもないのに、これだけ落ち着いて、分かりやすく話せるのは驚きです」と目を丸くした。

 番組サブタイトルの「頑張る時は、いつも今!」という言葉に込められた思いを語る段を迎えると、語り口は一段と熱を帯びた。強めの冷房が効いていたが、額からは汗がしたたった。見事な一発OK。「昨日のFCソウル戦の前半分くらい、汗をかきました」と、汗染みができたシャツを示して苦笑いした。

 リーグ戦、アジアチャンピオンズリーグともに、タイトルを狙える位置での戦いが続く。しかも日本代表にも常に招集され続けている。そんな多忙なトップ選手が、レギュラー番組を持つのは異例だ。

 「これでピッチの上でしっかりと結果を残すこと、自分たちのサッカーを表現することができなければ、厳しい声もあがるのは分かっています」と表情を引き締める。

 それでも槙野は「自分としては、そういうプレッシャーを力に変えていきたいと、いつも思っています」と強い覚悟を示す。

 「自分のサッカーに対する考えを知ってもらえる、またとない機会です。そして浦和がACLやJリーグで、思うように集客が伸びていないという現状もある。FCソウル戦の直前には、山道強化本部長や、選手会長の宇賀神選手が、街頭でちらしをくばるなどの行動を起こしている。ひとりひとりができる形で表現をして、1人でも多くのお客さんに来てもらえるようにしないと」

 この番組は、ゲスト選びも槙野に一任されるという。サッカーにまだ興味がない層に、興味を持ってもらうきっかけになるようにと、あえてサッカー関係者以外を招くなどのプランも温める。

 「チームのみんなのことを話すにしても、できればオフの部分を知ってもらいたいというのもあります。グラウンド上の表情は、誰でも見て取れる。でも、彼らの素顔は僕にしか引き出せないところもあります。そういう内容の方が、サッカーファン以外の方にも興味を持っていただけるのではないかと思っています」

 サッカーに対する真摯(しんし)な取り組みは、代表の同僚であるACミランFW本田圭佑も認める。だからこそ、心を許して何でも相談し合う。

 本業に心血を注ぎつつ、余暇も惜しんで、サッカー人気向上のために力を尽くす。それも、現役選手としてトップフォームにある今しかできないことだと考えるからだ。サブタイトルに用いた「頑張る時は、いつも今」という言葉通り、槙野はサッカー界のために動き続ける。