新潟の今季初の連勝はならなかった。東京と1-1で引き分けたものの、勝ち点15で降格圏を脱出した。前半23分、リスタートからMF成岡翔(32)が2試合連続ゴール。だが、後半9分に追いつかれ、勝ち点3には手が届かなかった。

 執念のゴールだった。MF成岡は隙を逃さずに2試合連続ゴールを決めた。勝ち点3にはつながらなかったが、アウェーで勝ち点1をつかむ土台になった。

 東京GK秋元陽太(28)がボールをキャッチ後、6秒間ボールを離さなかったため、ペナルティーエリア内で間接FKをゲット。FW山崎亮平(27)が秋元からボールを奪うようにして素早くリスタート。左サイドから走り込んだ成岡がパスをもらい無人のゴールに蹴り込んだ。

 新潟はDF舞行龍ジェームズ(27)が前半18分に負傷し、DF増田繁人(24)と交代。アクシデントによる選手の入れ替えで、あらためて緊張感を持たなければならなかった。そんな中、絶好のタイミングでの先制点だった。

 成岡にとっては14年の第20節大宮、第21節徳島戦以来の2試合連続ゴールだ。「結果を残さなければならないし、得点は続けていかなければならない」。東京戦に向け、大宮戦以上に得点にこだわっていた。

 2試合連続スタメンだが、それ以外は第12節浦和戦と、第13節川崎F戦に途中出場しただけ。今季は左膝の故障で出遅れた。その間、若手の台頭もあった。「自分をアピールしなければならない」。一瞬の隙を狙うゴールは、プロ生活14年目のベテランの、必死さの証明だった。

 急性白血病で闘病中のDF早川史哉(22)の存在は選手、スタッフ全員の中にある。クラブでは支援のための基金を設立した。他のJクラブでも募金活動が始まっている。温かい周囲の支援。「史哉を励ますために、自分たちにできることをやるしかない」と成岡。今季初の連勝はならなかったが、戦う気持ちは早川にしっかりと伝えた。【斎藤慎一郎】