熊本が震災後初となる本拠地うまスタでのC大阪戦に臨んだ。一部に亀裂が入った熊本市の会場は安全面の問題で当面はメインスタンドのみを開放して使用。4月9日以来の地元開催は1-5の逆転負けとなったが、真の復興へ新たな1歩を踏み出した。

 約3カ月ぶりの本拠地うまスタ開催で熊本が心意気を示した。前半8分にCKから最後はDF薗田が頭で先制点を決めた。その後は薗田の一発退場で10人となるなど大量5失点。それでも途中出場の元日本代表FW巻は「帰れる場所があるのはありがたい。サポーターが背中にいるだけで力強かった」と感謝した。

 4月中旬の地震で甚大な被害を受けた。うまスタは今も益城(ましき)町の数十人が避難所として利用。一部に亀裂が入るなど安全面の問題で、9800席が使用可能なメインスタンドのみの開放で開催にこぎつけた。震災後のホーム戦は県外で4試合を消化。この日はほぼ満員の9322人が来場し、逆転負けにも温かい拍手が送られた。

 巻ら選手は自らが被災しながらも、避難所を回って被災者を勇気づけてきた。MF岡本主将は、被災し割れたガラスの破片が背中に突き刺さるけがをした夫人が、6月に元気な男の子を出産し「感謝しています」と声を振り絞った。「ここで勝つことが、いかに熊本の皆さんに勇気と元気を与えるか感じさせられた」と薗田。地元のために選手らは“聖地”から真の復興を目指す。【菊川光一】