鹿島からオファーを受けていたJ2札幌GKク・ソンユン(22)が、来季昇格後も札幌でプレーする意思を固めたことが2日、分かった。鹿島から1億円を超える条件を提示されたが、クラブは本人と話し合い、この日までに鹿島に断りの連絡を入れた。またGK金山隼樹(28)も、来季の契約延長で合意。第1、第2GKを確保し、来季に向けた戦力が、徐々に固まってきた。

 クがJ1札幌でステップアップする決意を固めた。守りの要とあり、札幌は流失防止のため移籍には1億円を超える条件を設定していた。だが、今季J1第1ステージ王者の強豪鹿島は、急成長を遂げていた韓国U-23代表に着目し高額オファー。1億超えの高評価にク自身の気持ちも揺らいだが、札幌は三上GMが中心となって、諸条件の調整など慰留に奔走した。10月31日、野々村社長が3時間、本人とマンツーマンで面談し、意思確認に至った。

 今季は2月28日の開幕東京V戦から29試合に出場。リーグ2位の29失点で首位を走るチームのキーマン的存在だった。札幌としては来季昇格後も当然、守りの柱として不可欠な人材で、流失となれば戦力ダウンは免れない。昇格した場合、札幌が来季目指すJ1残留に向け、なくてはならない才能であることを、時間をかけ、誠意を持って伝えたことが、大きな決め手となった。

 クとともに札幌のゴールマウスを守ってきたGK金山も、契約延長で合意に至った。クの成長で今季は出場9試合と出番は減るも、シュートストップ、キック精度、背後からのコントロール術と、すべての面で能力は高い。札幌は来季もGK陣の安定には欠かせないピースと考え残留オファー。代理人や本人と話を詰め、J1昇格後も札幌でプレーする方向で固まった。

 着々と、来季に向けた戦力がまとまってきた。既に現在チーム得点王のFW都倉、ブラジル人トリオの残留、川崎から期限付き移籍中のDF福森の完全移籍が固まった。昇格争いと並行し、先を見据え、J1昇格後の準備も進めていく。

 ◆ク・ソンユン(具聖潤) 1994年6月27日、韓国出身。在鉉(ジェヒョン)高在学中の12年に、テストを受けC大阪U-18入り。13年に正式にトップ昇格。15年に札幌に加入。今年のリオデジャネイロ五輪ではU-23韓国代表として4試合中3試合に先発した。今季リーグ戦は29試合に出場。195センチ、82キロ。