山形が山口に2-2と引き分け、条件だった勝ち点1を上積みしJ2残留を決めた。前半40分、FW大黒将志(36)の左足ボレーで先制。カウンターで2失点して迎えた後半34分に、MF山田拓巳(26)がこぼれ球を頭で押し込み同点に持ち込んだ。同28分にMFアルセウ(32)がこの日2枚目のイエローカードで退場する劣勢をはねのけ、残留を決めた。20日の最終節ホーム北九州戦に勝って、最後を締めくくる。

 残留への執念が出た。1-2の後半34分。左サイドからのクロスを相手GKがはじき、ゴール前に詰めていた山田が頭でねじ込んだ。「うまくボールが来た。中に入れば何かが起きる。2点とも自分のミスから点を取られていた。何とかプレーで返さないといけないという気持ちがあった」。雪の降る山形から一転、25度を超える暑さの敵地山口で引き分けに持ち込んだ。

 直近6戦で4度目の退場が出ても焦りはなかった。DF渡辺広大(29)は開き直っていた。「逆に10人になってしっくりきた。前からいけないので、ブロックをつくってカウンターからチャンスをつくるしかない」。アルセウが退場した6分後に山田がワンチャンスを決め、同37分にはDF田代真一(28)を投入。石崎信弘監督(58)は「しっかり守ってこいというメッセージで入れた」としぶとく粘り、残り1試合でやっと残留を決めた。

 J2に降格し、1年でのJ1復帰を掲げた今季は、まさかの低空飛行に沈んだ。開幕8戦白星なしに始まり、その後8戦連続勝ち点獲得で盛り返し7勝7分け7敗で折り返した。だが後半戦が開幕すると10戦勝利なしの泥沼にはまった。山田は「残留を決めたのはひと安心」と前置きしながらも「(今季の低調は)自分たちも思ってなかった。本来の目標とは懸け離れていた」と下を向いた。就任3年目の石崎監督も「今シーズンはかなり苦しかった」と肩を落とした。

 山口まで応援に来たサポーターへあいさつに向かった山形イレブンに笑顔はなかった。山田は「この結果は真摯(しんし)に受け止めなきゃいけない。これが現実。自分たちを冷静に見て、来年に生かしていかないといけない」と前を見据えた。最終戦のホーム北九州戦に勝って、来季に向けて仕切り直す。【高橋洋平】