C大阪から東京Vに新加入した、元日本代表MF橋本英郎(37)が、12日のチーム始動日の練習後に取材に応じ、東京V初日の感想を語った。

 スペインリーグで20年指揮を執った、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(59)が、始動から戦術練習を行う異例のスタートとなったが、橋本は「スペイン人らしいというか、ミーティングでも戦術を細かく言ってくれたので面白さはありますね。最初は戸惑う部分もあったんですけど、慣れてきたら楽しくできて新鮮でした」と笑みを浮かべた。

 一方で、初日から攻守の約束事を落とし込もうとしたロティーナ監督の指導に、選手がついていけていないことも指摘した。この日は午前練習は攻撃、午後練習は守備の戦術の基本コンセプトをトレーニングした。同監督は、ミーティングで欧州主要リーグの映像を見せ、視覚から選手に伝えた上で、グラウンドに出て体で実践する形で落とし込もうとしていた。

 橋本 思ったより、僕らがついていけていない。監督が言ったことを(選手が)理解できていない。監督が根本的にこうやれということが、まずできない。練習で出来ていないとなると、試合では絶対に出来ないと思う。(一部の選手は)自分のペースでやっちゃってる。(指導陣が)意図を持ってやっているのに、自分のやりたいようにやって、何回もプレーを止められていた。本来だったら、どこに出すべき、というのが分かっていないことが多かったので、もうちょっと分かるようにしていけたら。システムだったり、監督がその時に感じている雰囲気を、もうちょっと、みんなが感じられるようにならないといけないのかなと思ったので、その辺は伝えていけたらいいと思いました。

 東京Vの練習に初参加ながら、冷静にチームのことを分析する一方、新参者である自身の立ち位置も理解している。

 橋本 昇格に関わりたいというのはあるんですけど、去年出ていた選手もいますので、ポジションで争いが起きるような形にしたい。今日の練習でやった3-4-3のフォーメーションは去年(在籍したJ3の)長野でやっていたので、僕は多分、みんなよりは、だいぶ慣れていると思います。そこは、すごく優位性を感じながら、今日はやれていましたね。まだ中心でやっていく立ち位置じゃないと思うんで、出ていない選手にアプローチしたい。試合に出ているメンバーは、自然と(監督の)言っていることに従いやすくはなると思うんですけど、出ていない選手が自由にやっちゃうと、ちょっと方向性がバラバラになっちゃう。そこは意識した方がいいと思う。

 冷静なチーム分析、控え組のことまで視野に入れたベテランとしての気配り、そして新参者としての一歩引いた姿勢…橋本が、東京Vに新たなエッセンスを加える。【村上幸将】