元日本代表MF中村俊輔(38)が13日、磐田での歩みを始めた。磐田市のヤマハスタジアムで行われた磐田新体制発表会見に出席。横浜から移籍した理由に名波浩監督(44)の存在を挙げ、名波監督も「自分の息子と同じ。守る」と言い切った。

 正午、中村俊と名波監督は同時に姿を見せた。昨年の倍にあたる50社、約100人の報道陣を前に、中村俊は緊張の面持ちであいさつした。

 「背番号10、マリノスから移籍してきました中村俊輔です。38歳で難しい決断でしたが、服部さん、名波さんから『門を開けて待っている』と言われ、挑戦しようと思いました。ジュビロのファンから『あいつを取って良かった』と言われるように、身を削って貢献したいです」

 中村は16年シーズン、フロント陣への不信感から横浜で苦しんでいた。そこへ日本代表でともにプレーした名波監督、服部年宏強化部長(43)から声が掛かり、移籍へと心が動いた。

 「名波さんがすぐに駆けつけてくれたのは大きかった。『門を開けている』『俺は人間性を重視する』『年齢は関係ない』という3つを言われただけで十分。名波さんはサッカーをよく知っていて、全体を見わたして、他の選手を生かせる人。一番印象に残っているのが00年アジア杯です。名波さんが、指導者としてどういうタイミングで選手に声を掛けるのかなどを勉強していきたいです」

 一方の名波監督は、中村俊が獲得できたことを「うれしいです。みんなが見たい選手が来てくれて身震いがします。(32試合のうち)28試合は出てほしい」と表現した。昨年、空き背番号「10」を付けたがる選手もいたが、名波監督が拒み、1年後に中村俊が付けることになった。指揮官は「これも縁」と言って続けた。「俊は僕と同じシャイボーイ。年下ですがサッカーへの信念が揺るぎなく、大きな尊敬の念を持っています。今後、僕の手もとにいる以上、息子だと思って接します。僕は選手にどんな外的要因が降り掛かっても、守る自信があります」。

 瞬間、中村俊はかすかにほほ笑んだ。天皇杯で昨年12月29日までプレーした後も沖縄で自主トレを重ねていた38歳。今日14日の全体練習から参加し、純粋に好きなサッカーに取り組んでいく。【柳田通斉】