新潟の「かんぺい」が本家を試合に呼ぶため、アピールを続ける。高知でキャンプ中の新潟は9日、春野総合運動公園で練習を行った。J2千葉から移籍のベテランDF富沢清太郎(34)がレギュラー取りへ順調な仕上がりを見せている。タレントの間寛平(67)に似ていることからついたニックネームの「かんぺい」は、新天地でも浸透。開幕からスタメンに名を連ね、デンカビッグスタジアムで本人に観戦してもらおうと、モチベーションを高めている。

 実戦形式の練習になると、富沢の精度の高さが際立つ。この日の仕上げの7対7。マークしたFW平松宗(24)のシュートを防ぐと、その流れでルーズボールを拾いに走り、スライディング。縦パスは難なく中央でクリアした。

 「無理をせず、もちろん手抜きは絶対しない。順調に来ています」。千葉に在籍した昨季、左かかとの筋膜炎を抱えながらプレーした。完治した今、患部を気にすることなくキャンプのメニューに取り組む。「新潟はしっかり走り込んでいる。強度が高い」。01年の東京Vを皮切りに、新潟が5つ目の在籍チーム。新しい環境の特徴を把握するのは慣れている。三浦文丈監督(46)も「古傷を確認しながらだが、不安はない」と、ここまでフルメニューをこなしているベテランを安心して見ている。

 プレーよりも先にチームに受け入れられたのが、サッカー界で通っている「かんぺい」のニックネームだ。新潟のスタッフから若手まで、本名で呼ぶものはいない。「コミュニケーションが取りやすいのでね。いいことですよ」と笑う。

 願望がある。「本家に試合を見に来てもらいたいです」。横浜時代の14年の徳島戦。通算100試合出場のセレモニーで間寛平がプレゼンターを務めた。試合では先制点を決めた。今度は新潟でも、活躍ぶりを見てもらいたいというのが願いだ。そのためにも「開幕から出られるように」。スタメンの座をものにする。【斎藤慎一郎】

 ◆富沢清太郎(とみさわ・せいたろう)1982年(昭57)7月8日生まれ、東京都出身。東京実高時代は東京Vユースに所属し、卒業後にトップチーム昇格。05年に仙台に期限付き移籍し、06年に東京Vに復帰。12年に横浜に完全移籍し、15、16年は千葉でプレーし副主将を務めた。今季から新潟に完全移籍。ポジションはDF。181センチ、75キロ。背番号50。