因縁の対決に挑む。ベガルタ仙台は30日、明日4月1日にホームで対戦する川崎フロンターレを想定した紅白戦を2本行った。1トップで先発濃厚のFW石原直樹(32)は浦和レッズ時代の15年4月の川崎F戦で右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷。全治約6カ月の重傷で、シーズンを棒に振った苦い経験がある。それ以来、約2年ぶりとなる対決へ向けてゴールを誓った。

 石原にとっては、因縁の相手になる。「試合にかける思いは強いですね、僕は。ゴールを狙いたい」と意気込みを語った。浦和移籍初年度のリーグ5戦目の川崎F戦。定位置をつかみかけていたが、アクシデントに見舞われた。相手選手と接触し、「やばいと思った」。右膝前十字靱帯(じんたい)損傷と診断され、長期離脱を余儀なくされた。

 その故障もあり浦和での2季はリーグ戦出場10試合のみで、無得点に終わった。出場機会を求めてやって来た新天地。シーズンが始まって1カ月が過ぎ、リーグ4戦で1ゴール1アシストと結果を残している。「(仙台の)選手の特徴はつかんできた」。チームも粘り強い戦いで3勝1敗と4位。それでも「やるべきサッカーの質はもうちょっと。耐えて耐えて少ないチャンスをものにしている感じ。もう少しゲームを握れていれば」と成長の余地があると考える。

 献身的な守備で堅守も支えている。「FWから守備をするのはどのチームも一緒ですし、世界的に見ても一緒だと思う」と当然のように語るが、パスサッカーの川崎F対策には石原の守備参加も欠かせない。「11人でしっかり守り、11人で攻撃するのが今のスタイル」と定石通りに試合を進めるつもりだ。

 それ以上にストライカーとしてゴールに飢えている。「開幕戦以来得点を取っていない。(川崎F戦へ)恐怖心はない」。4戦ぶりのゴールで苦い記憶を完全に拭い去りたい。【秋吉裕介】