アルビレックス新潟の公式戦2連勝はならなかった。ただ、リーグ戦の北海道コンサドーレ札幌戦(20日、1-0)からスタメンをすべて入れ替えたことで、呂比須ワグナー監督(48)は、J1残留に向けた戦力を把握することができた。

 呂比須監督は「いろいろな意味で確認したいことがあった」と、冷静にチームの分析を進めた。ルヴァン杯は、すでに1次リーグ敗退が決定していた。リーグ戦は札幌戦の勝利で最下位を脱出したが、17位とJ2降格圏に沈んだまま。ヴァンフォーレ甲府戦は、勝利と今後につながるチーム力のチェックが命題としてあった。

 後半24分、DF西村竜馬(23)が相手を倒して与えたPKを、甲府のMFオリバー・ボザニッチ(28)に決められて先制を許す。41分には左サイドからクロスを入れられ、追加点を奪われた。「失点すると、集中力が欠ける」(呂比須監督)。三浦文丈前監督(46)の辞任を受け、自身が後任監督に就任した際に目についた課題が、まだ未消化だった。

 一方で、収穫もあった。前半はブロックの中で激しくボールを奪い、カウンターを仕掛ける展開に持ち込んだ。セットプレーを中心にシュートを放った。「前半は自分たちのポジショニングで試合ができた」と目指す戦い方が浸透している部分もあった。

 この日は左ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷から復帰したMF伊藤優汰(24)が後半途中出場。256日ぶりに公式戦のピッチに立った。4年目のDF酒井高聖(21)がJ1公式戦デビュー。戦力の台頭もあった。「自信を取り戻して、リーグ戦に合わせたい」。指揮官の視線はリーグ戦次節のベガルタ仙台戦(28日)に向いている。