第96回全国高校サッカー選手権静岡県大会の組み合わせ抽選会が21日、静岡市内で行われた。昨年より2校多い119校が出場。9月17日に開幕し、決勝は11月18日に行われる。昨年覇者の藤枝明誠は3回戦から登場する。今年は新人戦と県総体で不本意な結果に終わり、プリンスリーグ(L)東海でも9戦全敗。悔しさを糧に連覇を目指す。

 藤枝明誠がどん底から頂点を目指している。現チームは2月の新人戦で8強止まり。県総体も3回戦で敗退した。所属のプリンスLでは開幕から全敗で最下位。9試合で2得点48失点。FW上戸雅也主将(3年)は「サッカー人生で一番最低の結果。落ちるところまで落ちました」と悔しさをにじませている。

 だが、今はチームは良い方向に進んでいる。転機は2つあった。7月15日のプリンスLで藤枝東に0-9で大敗。試合後、選手だけのミーティングを行い、意見をぶつけ合った。さらに、野球部が甲子園に初出場。県大会決勝では雨で約3時間の中断を挟み激闘を制した「仲間」の活躍を見て闘志に火が付いたといい、DF村松志苑(しおん=3年)は「次は僕らの番。もっと、がむしゃらに戦うべきだと思いました」と話している。

 夏休みには7泊8日の県外遠征を行い、実戦を通して守備の修正を図った。MF田口滉太(3年)は「臨機応変に戦術を変えるようにしました」。これまでは前線からのハイプレスに頼っていたが、状況を見てゴール前でブロックを形成。時間帯や相手の特徴を分析し、耐える守備もできるようになった。

 一方で、松本安司監督(48)は「スタイルを変えるつもりはないです」と言った。守り勝つサッカーではなく、昨年同様に攻め抜く「超攻撃的サッカー」で大会に臨むつもりだ。上戸はチーム共通の思いを込めて言った。「僕らはチャレンジャー。最後は最高の形で終わらせます」。目標は同校初の連覇。このままでは終われない。【神谷亮磨】