日本サッカー協会(JFA)相談役で、元キャプテンの川淵三郎氏(81)が13日、都内で行われたイベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(ソーシャル・イノベーション・ウイーク・シブヤ、SIW)」に登壇した。川淵氏は囲み取材で、イベント中に発表された東京・代々木公園B地区エリアに新スタジアムを作る構想について、完成した暁に使用するクラブはJ2の東京ヴェルディが望ましいのでは? との私見を語った。

川淵氏は、新スタジアムを使用するクラブについて、既存から募るのか、それとも新たに作り上げたクラブが使う方が良いのか? と聞かれると「もちろん、クラブの熱意によるよね」と即答した。その上で「スタジアムを作りたいという活動をしていたのは、ヴェルディなんだよね。Jリーグをスタートした時、あれだけの人気チームで今は不遇をかこっているわけで。これをきっかけに、ドンドン活躍してもらうと、ヴェルディファンも帰ってくる…というのも、僕も考えないわけではない」と語った。

一方で「ヴェルディに決めてかかっているわけではない。全く新しいもの(チーム)の方が、多くの賛同が得られるなら、それでいい」と、東京Vを候補に挙げたのは、あくまで私見であることを強調。「ヴェルディが、どう魅力を感じるのか、(スタジアムを)作り上げる人が、そういうことに対してどうなのか、お互い納得した形でチーム探しをしていった方が良いと思う」と、クラブとスタジアム建設を進める側、双方の理解が必要だということも語った。

一方で代々木公園に新スタジアム構想を持っているのは、今回のイベントを主催した渋谷区の外郭団体の一般社団法人・渋谷未来デザインだけではない。FC東京と、東京の新スポンサーになったIT企業大手のミクシィとの間で新スタジアム構想が浮上しており、代々木公園は、その候補地の1つでもあるという。川淵氏は、その件について聞かれると「そうなの? 味の素スタジアムで今まで築いてきた地域への根ざし方(があるから)。(ヴィッセル神戸MFアンドレス)イニエスタが来た時、5万近く(4万4801人の観客が)入ったよね。あそこは可能性は十分あるし、こっち側に移るのは、ちょっとね…ファンにとって残念に思うんじゃないかな? あそこでしっかり地盤を固めて発展していってもらいたい」と、こちらも私見を語った。

代々木公園スタジアム構想は、代々木公園スポーツ、エンターテインメントの聖地として、そして都市型防災の拠点としてのスタジアムパークを作る構想だ。大規模災害が発生した場合は、スタジアムのトイレはもちろん、VIPルームは乳幼児を持つ母親などサポートが必要な人々のために使用することも想定しているという。【村上幸将】