サイバーエージェントが1日、都内で会見を開き、J2のFC町田ゼルビアの運営会社・株式会社ゼルビアが第三者割当増資で発行する株式を引き受け、8割の株を取得し、子会社化すると発表した。町田は今後、サイバーエージェントグループの傘下に入る。

町田の下川浩之会長は「J1ライセンスの取得に向け、天然芝のグラウンド、クラブハウスの建設には大きな資金が必要で、サポートしていただける企業を探していたところ、今回の縁をいただきました。サイバーエージェントさんは、我々の活動に共感していただき、施設建設にご理解いただきましたので、決断いたしました」と子会社化に至った経緯を説明した。

町田は、ホームの町田陸上競技場の収容人数が1万328人で、1万5000席以上に設定されている施設基準に満たない上、練習施設の基準に達せずJ1ライセンスが交付されなかった。ホームタウンの町田市は、観戦席を7000席増設する工事を19年に着工、21年のしゅん工を目指し動いているが、天然芝の練習場とクラブハウスという要件が大きな“壁”だった。町田は、その壁を乗り越えるべく、サイバーエージェントの子会社になる道を選んだ。

下川会長は、サイバーエージェントとの話がいつから始まったかと聞かれ「今年の4月に、取締役会で大きな会社があると(話が出た)その時は、会社のお名前も知りませんでしたし、守秘義務があって契約してから、という話を聞いた。ぜひ、ご紹介くださいと言いました」と経緯を明かした。

同会長は質疑応答の中で、町田陸上競技場の改修が完了する見込みの、21年がJ1クラブライセンスを目指す最速か? と聞かれると「これから、いろいろな形で1つ1つやっていくところ。1年でも早く、J1ライセンスを取るために、サイバーエージェントさんのお力を借りる」と説明した。

町田の大友健寿社長は「私も、子どもの頃からFC町田で育った人間。こういうご協力を仰げるクラブになった。諸先輩、支えてくださった方々に感謝します」とあいさつした。町田は1977年に設立された少年サッカーチーム「FC町田」のトップチームとして89年に創設され、97年に町田ゼルビアに改称された。同社長は町田の選手として00年から06年まで選手として所属し、東京都1部から関東2部でプレーし、生え抜きの社員から初の社長となっただけに感慨深げだった。

大友社長は「ゼルビアは監督、選手の力によって引っ張ってもらっている状況。町田に残りたくても、施設、ライセンスの面が理由で、泣く泣く去っていく監督、選手がいる中で、本当に頑張っている選手に環境を与えていきたいという思いがございまして、今回に至っております」と、環境面の整備が悲願だったことを強調した。

サイバーエージェントの藤田晋社長(45)は「2人は優秀な経営者。しっかりしていると思っている。今のところ派遣する人材はいないが、ビッグクラブにしていく中で、人材が少ない部門が出てくる。いれば派遣し全面バックアップする側に回っていきたい」と、下川会長、大友社長をはじめ現体制の維持を約束した。大友社長は「身が引き締まる思い。任された部分、協力いただく部分を生かしながら結果を出していかなければならないと感じております」と表情を引き締めた。【村上幸将】