サッカー元日本代表MF松井大輔(40)が、フットサルに転籍することが9日、分かった。Fリーグ1部のYSCC横浜とプロ契約を結ぶ。近日中に発表する予定で、契約期間が今季終了時の来年3月までとみられる。過去には、横浜FCのFW三浦知良がシーズンオフにFリーグでデビューしたことはあるが、W杯を戦った代表選手がFリーグに本格参戦するのは初めて。松井は滞在していたベトナムから帰国し、現在はコロナ禍による自主隔離中。10月中にFリーグデビューする。

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サッカー界屈指のテクニシャンが、Fリーグに参戦する。ベトナム1部サイゴンFCを退団した松井が、フットサル選手として活動する。Jリーグクラブ関係者は「松井はJリーグには戻らずに、Fリーグのクラブと契約すると聞いている。過去の横浜FCのカズみたいなお客さん扱いではなく、本契約を結んでFリーガーとして本格的にプレーすると聞いている。松井の瞬発力、高速ドリブル能力は、Fリーグに向いてるかもしれないね」と話した。

サッカー日本代表で活躍したトップクラスの選手が、Fリーグに転籍するのは異例だ。11年12月に横浜FCのカズがオフの期間中に、エスポラーダ北海道に選手登録し、Fリーグに1試合出場したことはあるが、サッカー界に籍を残さずにフットサルに本格挑戦するのは初めてだ。

松井は03年に日本代表でデビューし、04年アテネ五輪にはエース番号の10を背負って出場した。岡田武史監督に率いられた10年W杯南アフリカ大会では、全4試合にスタメン出場し、攻撃の主力として16強進出に貢献した。04年からル・マンなどフランスリーグやロシア、ブルガリア、ポーランドなど欧州各リーグで12シーズンにわたり活躍した。昨年末にはベトナム移籍を発表したが、今夏に契約終了。新天地を求め、最終的にFリーグ挑戦を決めた。

8月末にベトナムから帰国した松井は、今週末には自主隔離期間が明け、週明けにはYSCC横浜への転籍が正式発表される可能性が高い。フットサルへの適応期間などを考慮し、デビューは10月初旬になる見込みだ。半年間の契約で、給料は年俸に換算すると1000万円程度とみられる。

Fリーグは、過去にカズや元ブラジル代表DFロベルト・カルロスの加入で話題づくりを試み、成功させた実績がある。動画配信するABEMAのヒット数が増え、世間から注目された。しかし今回は話題づくりではなく、セカンドキャリアとして成功できるかの問題だ。松井が成功すれば、サッカー人生の最終章として、フットサルに転向する選手が増えることも考えられる。

◆松井大輔(まつい・だいすけ)1981年(昭56)5月11日、京都市生まれ。鹿児島実3年で全国高校選手権準優勝。00年京都に加入し、5年間プレーした後に欧州へ。ル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブル(以上フランス)を経てトム・トムスク(ロシア)-ディジョン(フランス)-スラビア・ソフィア(ブルガリア)-レヒア・グダニスク(ポーランド)-磐田-オドラ・オポーレ(ポーランド)-横浜FC。21年1月からベトナムのサイゴンFCに半年間所属した。日本代表では10年W杯南アフリカ大会に出場。全4試合に右MFで先発し、16強入り。国際Aマッチ31試合1得点。夫人は11年6月に結婚したタレントの加藤ローサ。175センチ、66キロ。

◆Fリーグ 日本フットサルリーグ。07年に設立し、8クラブでスタートした。1部と2部の2部構成で今季1部リーグは、エスポラーダ北海道、バルドラール浦安(千葉)、フウガドールすみだ、立川・府中アスレティックFC、ペスカドーラ町田(以上東京)、YSCC横浜、湘南ベルマーレ(以上神奈川)、ボアルース長野、名古屋オーシャンズ(愛知)、シュライカー大阪、ボルクバレット北九州(福岡)、バサジィ大分の12チーム。2部リーグはしながわシティ(東京)、ヴィンセドール白山(石川)、アグレミーナ浜松(静岡)、デウソン神戸(兵庫)、広島エフ・ドゥ、ポルセイド浜田(島根)の6チーム。過去14シーズン中、名古屋が13度、大阪1度優勝。今季は6月に開幕し、2回戦総当たりで来年1月にリーグ戦が終了。16年から6チームで女子リーグもスタートし、今季は10チームが参加。

◆フットサルのルール 1チーム5人がピッチに立ち、選手交代は最大9人の交代要員が自由に何回でもOK。20分間の2ピリオドの計40分のプレーイングタイムで実施。ボールがピッチの外に出たり、ファウルなどでプレーが止まると、サッカーと違って時計が止まる。そのためロスタイムはなし。ピッチの大きさは、縦16~25メートル、横25~42メートル。ポジションはサッカーで言うとGKがゴレイロ、DFはフィクソ、MFはアラ、FWはピヴォ。サッカーより一回り小さく、ローバウンドボールを使用。オフサイドはなし。ボールがタッチラインから出た場合、スローインではなくキックインから再スタート。退場者が出た場合、ペナルティーとして2分間、4人で戦う。人数が多いチームがその2分間で得点した場合、その時点で選手補充が認められる。