Jリーグは22日、都内で開いた緊急のJ1、J2合同実行委員会で、不祥事には今後、厳罰をもって臨む方針をJ33クラブへ通達した。17日の浦和-G大阪戦(埼玉)で起きた騒動を問題視。今後同様のケースには、無観客試合や勝ち点はく奪など「強権」発動を伝えた。また、監督、選手の審判に対する悪態や異議、法令違反にも、Jリーグ規約に罰則の内規を設け、厳しく対処していく方針を示した。

 Jリーグが「強権」発動を視野に入れた。浦和-G大阪戦で起きたサポーターの騒動で、日本のスタジアムにあった「安全神話」も崩壊寸前。警察庁からも指導を受ける非常事態に「中身によっては今後、無観客試合や勝ち点のはく奪もある」と鬼武チェアマンは厳しく対処していく意向を示した。

 これまでもスタジアムでトラブルはあったが、無観客試合や勝ち点はく奪は16年目を迎えたJリーグで1度もない。「ファンにサッカーを見てもらいたい」という考えから規約上可能な「厳罰」の適用は皆無。羽生事務局長は「10年前より(Jリーグの)社会的責任は重くなっている。それにそった罰則を設ける時期にきている」と説明した。

 この日の実行委員会では、直近の鹿島選手の酒気帯び運転発覚をはじめ、一連の不祥事がとじ込まれた新聞のコピーが配布された。鬼武チェアマンは「Jリーグ存亡の危機。原点に返ってやろう」と襟を正した。「Jリーグの信頼回復に向けて」という文書も配り(1)法令順守(2)世界に誇れる安全で快適なスタジアムの環境づくり(3)自らの言動に責任を持つ、の3点を監督を含むスタッフ、選手に徹底するよう伝えた。

 Jリーグでは6月28日のJ1再開までに(1)スタジアムのセキュリティー(2)飲酒運転などの法令違反(3)審判への悪態、異議、暴言、などの3点について、罰則の内規を規約に盛り込み厳しく対処する方針。見逃されてきた、審判を取り囲むような行為や取材中を含めた審判への暴言についても、FA(イングランド協会)方式で罰金など制裁を科す。信頼回復へ向け、選手教育のあり方も見直しながらJリーグは出直す。