<J2:福岡3-1鳥栖>◇第17節◇31日◇ベアスタ

 福岡が16試合目で今季初の連勝をゲットした。鳥栖との九州ダービーは前半15分、MF久永辰徳(30)が得たPKをMFウフク・タレイ(31)が決め先制。同点に追い上げられた後、41分にDF長野聡(25)のゴールで勝ち越した。後半ロスタイムにもタレイがダメを押し、福岡は順位を1つ上げ11位になった。

 ヘッドの強さが売りの選手会長が、右足で流れを引き寄せた。前半41分、相手DFのクリアミスを、長野がゴール前中央でとらえてシュート。「足で得点したのは初めて。もう、ないと思う」と照れ笑いした。今季から選手会長に就任し、チームがオフの26日もJ選手協会総会に出席し、9日間無休で2試合をこなした。「体はきついけど、勝てたから良い。いろいろあってサポーターに迷惑をかけたけど、選手もピッチで頑張っているところを見せられた」。ホーム並みの数で応援を再開したサポーターへの感謝を、決勝弾で示した。

 長野は得点後、右手を握ってこぶしをつくり、左胸をたたいた。福岡大の同期、鹿島FW田代有三と約束した、心臓移植を待つファンを励ますポーズだ。今年1月、田代を通じて知り合った、特発性拡張型心筋症患者の宇野純平さん(22)と福岡市内の病院で面会。ブルックス時代からの福岡ファンという宇野さんに、J1復帰を約束した。クラブのイベントでは雨の中、募金箱を持ち、ホーム戦の会場でも支援を呼び掛けている。「少しでも、純平君の励みになれば」。05年以来のプロ2点目に込めた思いが、チームの再浮上も呼び込んだ。【佐藤千晶】