日テレMF沢穂希(30)が、米国で来年復活する女子プロサッカーリーグWPSの国際ドラフトでワシントンから1巡目(全体6位)で指名された。WPSが24日に発表した。03年に消滅したWUSAでプレーしていた沢は、復帰を希望していた海外からの吉報に喜びつつも、リーグの運営方法や報酬などが不透明で戸惑いも浮かべた。同じ日テレからFW大野と荒川、岡山湯郷からMF宮間も同ドラフトで指名された。

 喜びとそれ以上の困惑が、沢の顔に入り交じっていた。「日本人として指名されたのはうれしいけど、まだリーグ戦の途中。こちらの契約もあるし、向こうでやるかどうかは、はっきり決まってません」。アトランタ・ビートで01年から3季プレーしたが、経営難でWUSAが休止されて無念の帰国。それ以来、熱望し続けた海外再挑戦への道が開けたとは思えないほど、歯切れが悪かった。

 WPSの不透明さが、沢、代理人、そして日テレも困惑させている。25日朝6時半に尹代理人のもとに指名の連絡はあったが、ドラフト指名しながら正式な文書は送られていない。ワシントンの関係者から「入団したらチームにフィットして、好プレーをしてくれることを望む」とメッセージはあったが、これも口頭だった。

 分かっているのはリーグ戦が4月から8月までということと、報酬がサラリーキャップ制ということくらい。MLSやバルセロナの米ツアーなどを仕切る大手マネジメント会社「SUM」がメーンスポンサーだが、報酬や待遇面でどれだけ保証されるかは分からない。

 沢は「行くかどうかは条件にもよる。詳しいことは全然分からない」と言葉を濁した。日テレとは来年元日の女子選手権決勝まで契約が残っており、本格的な動きはそれ以降になる。尹代理人は(1)米挑戦(2)残留のほか、国際サッカー連盟(FIFA)規定で年間2チームまでプレーが認められていることを挙げ(3)米でのリーグ戦終了後に日本でプレーという仰天プランも示唆した。【村上幸将】