<J1:千葉3-2浦和>◇第28節◇5日◇フクアリ

 千葉MF深井正樹(28)が、浦和戦で2得点し、チームを降格圏から脱出させた。開始23秒で前線に抜け出して左足で先制し、後半12分には体を反転させながら左足で2点目を入れた。名古屋から移籍後、5戦4発でチームの5連勝をけん引。千葉は3-2で勝利して勝ち点を33とし、入れ替え戦出場の16位から14位に順位を上げた。

 161センチのJ1最小兵が浦和の守備網を切り裂いた。開始23秒。左MF谷沢がボールを持つと、逆サイドから深井が中央へ切れ込んだ。パスに追い付き、ボールの勢いを止めず、左足を振り抜く。相手の守備陣形が整う前の秒殺。「立ち上がりで積極的に前にいったのがよかった」と胸を張った。1-1の後半12分にはゴール前で体を反転し2点目を入れた。

 堅守浦和に、今季1試合で2点を挙げたのは深井が初めて。しかも、3月30日の第3節で川崎Fに負けてから常に16位以下の降格圏をさまよったチームを、189日ぶりに脱出させた殊勲ゴールだ。「まだまだです。上も勝ち点が近いし、もっと上を目指さないと」。目標はJ1生き残りではなく、チームを1ケタ順位に引き上げることだ。

 今季前移籍した名古屋で出番に恵まれず、たどり着いた新天地で開花した。千葉移籍後、5戦4発でチームを5連勝に導いた。「今はプロに入ってから一番楽しくサッカーができている」。大学NO・1FWとして03年に鹿島入り。その期待がプレッシャーになり、押しつぶされた。「いろんなことを考えすぎた。移籍を繰り返して苦しかった」と、移籍前までの5年半を振り返った。

 静かな性格で、周囲とのコミュニケーションが課題だった。大学4年間コンビを組んだFW巻は「あいつが一番変わったのは、積極的に会話するようになったことかな」。最近は練習後、自ら若手に声を掛けて食事に誘い、サッカー談議するなど、チーム一員としての自覚が出てきた。周囲に自分の考えやプレースタイルを伝えたことで、短期間で結果が残せた。

 「僕の一番の課題はハートですから。強い心があれば、自然と結果は残せる」。移籍後初めて観戦に訪れた両親と夫人に、成長した姿を見せることができた。自分の居場所を見つけた深井は、今後もでっかいハートで走り続ける。【盧載鎭】