<J1:清水3-2千葉>◇第33節◇29日◇日本平

 自動降格圏17位の千葉が命拾いした。清水に2-3で負けたが、勝ち点2差の15位磐田と16位東京Vもそろって負けたため、12月6日の最終節にわずかな望みをつないだ。日本リーグ時代から唯一2部落ちの経験がない名門が、リーグ終盤で5戦勝ちなしで、いよいよ正念場を迎える。

 千葉DF坂本將貴(30)が、小さくガッツポーズした。「ヨシッ」。清水に負け、1度は降格を覚悟していた。移動バスに乗る直前、千葉より1時間遅れて試合開始の磐田と東京Vが負けたことが、報道陣から伝えられた。バスで携帯電話を片手に、他会場の結果を検索していた選手たちの表情も、一瞬にして明るく変わった。

 残留のため負けられない1戦だったが、中盤を支配された。勝ち点2差の磐田と東京Vがそろって勝つと、その時点で降格決定。そろって引き分けても、得失点差が10以上開いているため事実上、降格が決まる絶体絶命の状況だった。FW深井は「可能性が出てきた」と胸をなで下ろした。

 最終節に望みはつないだが、厳しい状況に変わりはない。東京戦はDFの要・ボスナーが出場停止。降格となっても来季続投が決定的なミラー監督は「この試合だけ大事ということはない。毎試合が重要だ」といい、2得点したFW巻は「僕らはプロだし、最後まであきらめない」と気を引き締めた。日本リーグ時代から唯一2部落ちを知らないチームの伝統を守れるか。次こそ勝って、ライバルが負けるのを期待するしかない。【盧載鎭】