エーッ!

 2年目なのにもう「新生」!?

 J2岐阜が19日、ホーム長良川陸上競技場で始動した。練習前に岐阜市内で行われた新体制記者発表では、ひな壇に大量15人もの新加入選手が並んだ。J入会初年度だった昨季の主力とはほとんど契約更新せず、期限付き移籍も含め19人がチームを離れた。今季は25人中、15人が新加入選手という昨季とはまったく別のチームで、経営面の問題も抱えたまま激戦のJ2に参戦する。

 スーツ姿で会見に臨んだ新加入選手はなんと15人。Jクラブの倍以上の選手を抱えるプロ野球の新人会見でもめったにお目にかかれない数だった。背後のスクリーンには新クラブポリシー『共に育つ』の4文字。この15人に育ってもらわなければチームは成り立たない。昨季の登録選手で今季も岐阜でプレーするのは、サッカーのイレブンにも満たない10人。陣容の2/3が新加入選手という極めて異例の体制でスタートを切った。

 今西和男社長兼ゼネラルマネジャー(68)も松永英機監督(45)も、Jで2年目にもかかわらずあいさつの冒頭で「新生岐阜」という4文字を使った。首脳陣はほぼ昨季と同じだが、レギュラーの過半数がクラブを去った。今西社長は今季開幕の布陣をイメージしながら「(新加入選手が)8人は出るんじゃないかな」とフレッシュな顔ぶれになることを示唆した。

 大幅な「リストラ」を断行し、まるで“別チーム”として2年目を迎えるが、改革を断行しなければクラブ運営が立ちゆかないほど経営面は苦しい。今季の選手年俸は平均300万円(推定)まで抑えたが、累積赤字をまだ3億円程度抱えている。昨年12月にはJリーグから5000万円の融資も受けている。返済期限は11月末だが、世界的な不況のあおりも受け資金繰りは厳しくユニホームの胸スポンサー獲得のメドも立たない。同社長は今後、経営の改善のため奥の手として寄付を募る考えも示した。返済が不可能なら、クラブ消滅という最悪のシナリオも待つ、まさに待ったなしの状況だ。

 若手中心の未知の布陣は、結果を出しスタジアムに観客を呼び、収入アップにつなげるという使命を背負う。「1年たったら(経験も積んで)面白いチームになると思うんだけど…」と同社長は厳しい表情で口にした。果たしてこの1年を乗り切れるかどうか。「新生」岐阜が掲げる12年のJ1昇格争いというビジョンを夢物語に終わらせないためにも、09年は重い重い1年になる。【八反誠】