今年のコンサドーレ札幌の核が、ようやく合流した。9日、MFクライトン(31)が、グアムキャンプを終えたチームとともに札幌入りした。心臓病を持つ父カルロスさん(58)の容体悪化から、母国ブラジルでのプレーに気持ちが傾き、合流が遅れた。結果、12日からの熊本キャンプから練習に加わることになるが、調整面での不安を一蹴。同時にJ1昇格へ、札幌のために全力を尽くすことを誓った。

 クライトンに迷いはなかった。約2カ月半ぶりに新千歳空港に降り立つと、札幌への熱い思いをはっきりと口にした。「自分が今、一番大事に思っているのは、コンサドーレというチームで1年間やれること。そのことに満足しているんだ」。紆余(うよ)曲折を経てのチーム合流だったが、気持ちの整理がついたことを強調した。

 父カルロスさんの心臓病の悪化から、昨年11月26日、ブラジルへ緊急帰国した。その後、札幌と09年の契約を結んだものの、古巣アトレチコ・パラナエンセからオファーが飛び込んだ。「彼らは自分を評価してくれたし、父や兄弟らのそばにいたいという気持ちが大きかった」と話すように、その誘いに心は大きく傾いた。

 クラブからは異例ともいえるチーム合流日が発表されたほど、騒動を巻き起こした。最後は「父はまだ不安定な状態ではあるが、残った家族が見守ってくれているから」と札幌でのプレーを決断したが、チーム始動には間に合わなかった。個人的なことで迷惑をかけたことは分かっている。それだけに、今は札幌のために全力を尽くすことしか考えていない。

 グアムキャンプは参加できなかった。12日からの熊本キャンプで、チームにフィットしなければならない。ただクラブとは日々連絡を取り、それに合わせブラジルでトレーニングを積んできた。「ブラジルでは15日間のキャンプで開幕を迎えていた。その期間で準備するやり方には慣れている。開幕までに状態を整える自信はある」と不安は一掃した。

 石崎信弘監督(50)は、すでにクライトンを攻撃の中心に置くプランを描き、チームづくりを進めている。その方針も、今季から背負う背番号10の意味も分かっている。「心配するようなことは一切ないよ」。3月に入ってから札幌入りし、開幕鹿島戦に出場した昨年と比べれば、万全の態勢を整える時間は、十分ある。