V奪回を狙う浦和が、今季からJサテライトリーグの監督を廃止することが14日、分かった。従来はコーチ陣の中からサテライト担当者を決め、事実上の監督として同リーグ戦の指揮を執っていたが、戦力の底上げを図るフォルカー・フィンケ監督(60)の方針で撤廃。コーチ6人がローテーションを組んで、練習や試合を指揮する異例のシステムを導入することになった。

 浦和は今季、開幕前に外部からの大型補強を行わず、ユース出身5人とプロ契約するなど若手の強化を重視。フィンケ監督は就任当初から「役割分担という言葉は使いたくない。何かが自分の専門外ということをなくしたい」と話しており、コーチ全員にトップとサテライトを兼任させることで、メンバーの入れ替えや起用法をすぐに検討できるようにするのが狙いだ。

 サテライトリーグは主に、J1リーグやナビスコ杯などの公式戦で出場機会の少ない若い選手が、実戦経験を積む場。トップチームの遠征時に監督以下のコーチ陣も不在となるため、多くのJクラブが本拠地に残った選手の練習やサテライト戦を専任コーチに委ねている。浦和も昨季、オジェック体制下では広瀬コーチが、エンゲルス監督在任時は福田コーチがサテライト部門の責任者を務めた。

 主力と控えの垣根を取り払う、構造改革。藤口光紀社長は「より情報を共有することで、若手を含めた選手の強化と育成を図ることができる」と期待する。シーズンを通して、人とボールが連動する新しいスタイルを全選手に浸透させ、V戦力への底上げを図る。