<プレシーズンマッチ:C大阪1-0G大阪>◇22日◇長居

 もう悔いはない。涙もない。昨季限りで引退した元日本代表の森島寛晃氏(36)は同じ8番をつける香川と交代し、後半42分からピッチに立った。直後、FW西沢のパスを受けようと右足を伸ばしたが、簡単にボールを奪われた。後半ロスタイムにはロングパスに反応し必死でジャンプする。頭でパスしたが、味方へつながらない。最後の試合でボールタッチはこの1度だけだった。

 森島氏

 こういう終わり方も僕らしくていい。何もできなかったけど、ガンバに勝って終われたのは、よかった。

 G大阪に面白いようにパスをつながれ、ボールを追っただけの引退試合だったが、満足感だけが残った。「もう走れないですね。あとは後輩に託します」。自分の限界を感じ取った最後の5分間で、もう現役への未練はなくなった。「シンジ(香川)は頼もしかったですね。絶対にJ1に上げてくれるでしょう」。

 次の目標はC大阪の監督に就任し、J1で優勝へ導くことだ。今季からクラブのアンバサダーとして広報活動に励みながら、指導者としての資格取得を目指す。「いつか、監督として長居で指揮をとりたい。それまで何事も勉強ですね」。元祖ミスターセレッソは、どこまでも前向きに次の夢へ突き進む。