集中力が散漫な山形イレブンに、指揮官のカミナリが落ちた。J1山形小林伸二監督(48)が24日の午前トレで、長期キャンプの疲労で動きの悪い選手たちを一喝した。長崎・雲仙に始まり宮崎と続いたキャンプもこの日で29日目。精神的なストレスも重なり、精彩を欠く場面が多かった。小林監督は「しんどいのは分かるけど、それを見せたら(試合で)やられる」とゲキを飛ばした。

 カミナリが直撃したのは、練習開始から約1時間が過ぎようとしていた時だった。DF強化重視の4対4の対人練習を行っていた選手の動きが、見るからに重い。ゴールに直結するペナルティーエリア内の攻防で、いつもなら連係確認の声が飛び交い、選手のモチベーションも高い練習だが、この日は違った。沈滞ムードに小林監督が気づかないはずはない「集中しろよ!

 (気持ちが)途切れてるよ!

 ケガするぞ!」。

 練習の順番が回ってきても、さっさとピッチに入らない姿に、小林監督はいらだっていた。プレー以外のことで、今キャンプ初めてチームを一喝。開幕が約2週間後に迫った大事な時期に、不注意な故障は痛すぎる。予定していたメニューを削った指揮官は、午前トレ終了時の円陣で「ばからしいぞ。しんどいのは分かるけど、それを見せたらやられる」と力説した。

 クラブ史上もっとも長いキャンプで疲労が蓄積し、古傷や慢性的な故障を抱える選手も多い。それにストレスが重なって選手の動きが落ちた。午後の練習の前に、選手の状態をチェックした指揮官は、11人を室内での別調整や完全休養に充てた。

 午前の「カミナリ」が効いたのか、午後練習では選手の動きが見るからに改善した。小林監督は「本当はほえるヤツがいればいいんだけど」と、中だるみを選手たちで排除できる環境を願うばかりだ。開幕前に、つまずく余裕なんて山形にはないはず。軒なみ低い下馬評を覆すためにも、キャンプに無駄な時間はない。【山崎安昭】