<J1:鹿島2-0浦和>◇第1節◇7日◇カシマ

 J公式戦初采配で、浦和フォルカー・フィンケ新監督(60)の血圧は上がりっぱなしだった。V奪回への初戦で完敗し「怒りを感じている。気をつけろと言っていたのにやられて残念。組織、個人の両方に原因がある」とまくしたてた。前後半に各1回ずつ、セットプレーで得点機を迎えながら決めきれず、逆にカウンター攻撃から2失点。王者に実力差を見せつけられる苦難の船出となった。

 4-4-2の新システムを導入し、従来の個人能力を重視した戦術に、人もボールも連動する組織力を注入。開幕までに12戦の練習試合でベースを築いたはずだった。だが、この日はショートパスの精度を欠いて相手の守備網を崩せず、結局は前線の選手が個人で突破するしかなった。同監督は「鹿島は長い期間で成熟したチーム。パスを回せても、ラストパスを入れさせてもらえなかった」と脱帽した。

 浦和はこれで、アウェーでの開幕戦2分け8敗。ジンクスを打ち破れなかった。MF鈴木主将は「相手は戦術、個人能力ともに高い。僕らはすべてにおいてレベルアップしなければ。自分たちの力を信じて、積み重ねていくしかない」と話した。次節14日のホーム開幕戦で迎える相手は、同じ連動サッカーを柱とする東京。浦和再建を軌道に乗せるためには、結果を残すしかない。【山下健二郎】