<J1:浦和1-0大分>◇第4節◇4日◇埼玉

 レッズには三都主がいる!

 浦和の三都主アレサンドロ(31)が、復活の「アシスト」を決めて、大分に1-0の勝利を収めた。昨年6月28日の柏戦で左足を痛めて以来、実に10カ月ぶりに公式戦復帰。左サイドバックで先発出場し、前半42分に左サイドからゴール前に絶妙のクロスを流し、決勝点となるオウンゴールを誘発した。現チームの体制を整えた藤口光紀社長(59)が、前日3日の取締役会で退任する激震の中で、貴重な勝利の立役者になった。

 この日を待っていた。前半42分、三都主は左サイドでボールを受けると、得意の左足でゴール前に低空クロスを放り込んだ。ボールは、相手DFの足に当たり、オウンゴールになった。昨季のリーグ戦で2戦とも完封された大分から、貴重な決勝点を「アシスト」。「早く埼玉スタジアムでプレーしたかった。こうやって帰ってこられてよかった」と喜んだ。

 昨年6月28日のリーグ戦柏戦で左足直筋腱(けん)を断裂し、手術を受けた。その後も両ふくらはぎなどの故障に泣かされ続けた。この日が実に280日ぶりの公式戦だった。W杯を2度経験した男も、ピッチに立った瞬間は「どうすればいいかわからないくらいの気持ち」だったという。

 進化して戻ってきた。開始直後の接触プレーにも動じなかった。リハビリ期間中に初めて本格的なウエートトレーニングに着手。体重が72キロから78キロに増えた。ベンチプレスでは60キロを持ち上げるほどに。「強くなって帰ってきたから」(三都主)。接触プレーでは最後まで安定感を見せた。

 大分戦はチームにとって、別の意味で重要な試合だった。3日の取締役会で現在のチーム体制を築いた藤口社長の退任。現非常勤取締役の橋本光夫氏の就任が内定した。この日はその橋本氏が観戦していた。左サイドは過去2戦で先発を務めた細貝が腰痛で離脱。フィンケ監督が「昨年から本職がいない」と頭を悩ませているポジションで結果を出し、チーム再建が着実に進んでいることも新社長に印象づけた。

 視察に訪れた日本代表の加藤GKコーチは「自分の形というものを持っている。試合に出続ければ、(代表の)戦力になる」と話し、W杯出場をかけた6月の最終予選に招集する可能性もほのめかした。三都主は「こんなもんじゃない。もっとやれる」。本領発揮はこれからだ。【今井恵太】