<J2:熊本4-0札幌>◇第6節◇5日◇熊本

 コンサドーレ札幌はアウェーで熊本と対戦し、0-4と大敗した。0-2の前半35分、DF趙晟桓(26)のバックパスを、初起用されたGK荒谷弘樹(33)がトラップミスしてオウンゴールを献上。同41分にはMFクライトン(31)が一発退場処分を受け、試合をつくれず、今季最多の4失点。順位も16位に落ちた。次節12日のホーム富山戦はクライトンに加え、MFダニルソン(22)が累積警告4枚で出場停止と、苦しい状況が続くことになる。

 ショッキングな失点が札幌の敗戦を決定づけた。0-2で迎えた前半35分だった。DF趙からのバックパスをGK荒谷が右足でトラップしかけたが、ボールは足の下を抜け、むなしくゴールへと転がっていった。「久しぶりの試合だったのに…。チームの足を引っ張ってしまった。練習では止められていたのに」。荒谷は試合後のあいさつでサポーター席の前に1人歩み出て、3秒間、深々と頭を下げた。

 想定外の失点から歯車が狂っていった。石崎監督は3失点目の1分後の同36分、主将のMF上里に代えFWキリノを投入。宮沢、キリノの2トップにした攻撃的3-5-2に変更し、逆襲を狙った。しかしその5分後、再び札幌を悪夢が襲う。MFクライトンが熊本MF藤田へのラフプレーで一発退場となった。数的不利の上、上里、クライトンと2人のプレースキッカーを失う最悪の状況で、3点を逆転するのは不可能だった。

 6戦目にして佐藤からのGK交代という指揮官苦渋のてこ入れは、実らなかった。前線からのプレスも機能せず、ボールへの寄せも常に一歩出遅れた。「チャレンジが中途半端。ちゅうちょしている上にカバリングのバランスが悪い。前に向いて戦う気持ちが出せていない」と指揮官は言った。石崎札幌の根源の部分が、いつの間にか白紙の状態に戻ってしまっては勝てるはずもなかった。

 「どこかでスイッチを切り替えないと、このままずるずるいってしまう」とMF西は危機感を強める。これで昨季から続く連続失点はクラブワーストの23試合に伸びた。6戦で勝ち点4と昇格戦線から完全に出遅れている。さらにこの日警告を受けたMFダニルソンが、累積警告のため次戦は出場停止。ホーム初勝利を狙う12日の富山戦は、助っ人2人不在での戦いとなる。窮地を乗り切るためには、いま一度初心に帰り、出直しを図るしかない。【永野高輔】