<J1:大宮1-1浦和>◇第13節◇24日◇埼玉

 浦和の日本代表DF田中マルクス闘莉王(28)が、キリン杯出場を回避する可能性が出てきた。24日、大宮との「さいたまダービー」で先発したが、左太もも裏の痛みを訴えて前半20分に交代し、試合も1-1で引き分け。25日に受ける精密検査の結果次第では、チリ戦(27日、長居ス)とベルギー戦(31日、国立)の同杯2試合を欠場する。

 W杯アジア最終予選の大一番を目前にして、闘莉王が不安材料を抱えてしまった。大宮FW石原と激しく競り合い、ピッチに倒れ込んだ直後の前半20分。自らベンチに向かって両腕で「バツ印」を示し、プレー続行不能を伝えた。左太もも痛の再発。その後もベンチで試合展開を見守り、自力歩行も可能だが「今日は勘弁して。痛みはあります。(今後は)まだ分からない」と言葉少なにスタジアムを後にした。

 4月下旬から、ゴールデンウイーク期間中の連戦で疲労が蓄積。左太ももに痛みを感じて、20日のナビスコ杯予選リーグ大分戦(九石ド)を欠場した。その後は次第に回復し、大宮戦の前日23日は通常通り、チーム練習をフルメニューで消化。居残りでシュート練習に励むなど、ダービー戦へ気持ちを高めていた。

 闘莉王は25日に精密検査を受けるため、同日から大阪で行われる日本代表合宿への参加は厳しい状況。浦和のフィンケ監督は「筋肉に痛みを覚えたようだ。明日午前に検査を受けてから、代表戦に出られるかどうかを考えたい」と慎重に判断するつもりだ。

 主力DFの故障は、岡田ジャパンにとっても大きな痛手となる。日本代表はキリン杯2試合で準備を整え、6月のW杯最終予選3試合に臨む。闘莉王にはスタメンでのフル稼働が期待されているだけに、同杯欠場となれば、W杯出場権に王手をかけて臨む同6日のウズベキスタン戦(タシケント)をぶっつけ本番で迎える危険を伴う。控え候補だった川崎FのDF寺田も故障で今回の招集を見送られており、戦力は万全とはいえない。

 これまでも故障を抱えながら、必ず大一番に間に合わせてきた闘莉王。W杯予選を見据えながら、最善の回復に努めるしかない。【山下健二郎】