監督に逃げられた-。神戸は6月30日、カイオジュニオール監督(44)の辞任を電撃的に発表した。後任には和田昌裕チーム統括本部長(44)が兼任監督として就任する。来季のACL出場権獲得を目指し、ブラジルから呼び寄せた名将は周囲に「カタールに行く」ともらしており、巨額なオイルマネーで引き抜かれた可能性が高い。契約を2年半残しての辞任に対し、神戸は違約金を請求する方針だ。

 J1、J2合わせて今季最初の監督交代劇は神戸で起こった。安達貞至社長(71)は「今日の午前の練習後にカイオジュニオール監督から『辞任したい』という申し入れを受けた。慰留はしたが、本人の意思は固かった」と硬い表情で話した。辞任理由は「一身上の都合」として、具体的に明かさなかったが、チーム関係者によると、同監督は「カタールに行く」ともらしているという。

 カイオジュニオール監督は、ブラジルでパルメイラスやフラメンゴのビッグクラブで指揮を執った実績を持ち、今季、鳴り物入りで神戸監督に就任。目標に「ACL出場権獲得」を掲げたが、これまで5勝2分け8敗の14位と低迷していた。神戸は5月下旬から約6週間のリーグ中断期間中も同監督にチーム再建を託しており、ここで指揮官を失うのは大きな痛手。その理由が資金豊富な中東クラブから引き抜かれたとなれば、ショックは大きい。

 同社長によると、最初に辞意を伝えられたのは、27日浦和戦(駒場)の直前。その後慰留に努めたが、折り合いがつかなかったという。契約期間は2年半残しており、同社長は「違約金を要求する」と怒りを押し殺しながら言った。

 後任については「今、外部から監督を呼ぶのはリスクがある」(同社長)と和田チーム統括本部長を据える。和田新監督には今後、強化責任者と監督を兼務させる方針で、4日の東京戦(ホムスタ)から指揮を執り、1日から指導に当たる。ボルフスブルクから日本代表FW大久保が復帰しながら、2連敗中と波に乗れない神戸。まさに弱り目にたたり目となった。