<JFL:アルテ高崎3-0FC刈谷>◇後期リーグ◇5日◇群馬県営サッカー・ラグビー場

 JFLのFC刈谷FWアマラオ(42)が、現役復帰を果たした。アルテ高崎戦(群馬)で後半19分から出場し、ロスタイム4分を含む計30分間プレー。試合は0-3で敗れたが、シュート2本を放つなど存在感を見せた。公式戦出場は、アルテ高崎に所属していた06年6月11日のFC琉球戦以来、1120日ぶり。J通算146試合66得点のブラジル人元Jリーガーは、今後もコーチを兼任しながら選手登録でベンチ入りし、ピッチ内で「実戦指導」を続けていく。

 約3年間のブランクはあっても、ゴールに向かう姿勢は不変だった。1点を追う後半19分。アマラオは、浮気監督の「行こう」という声を合図に、ピッチへ飛び出した。予定より1試合早まった現役復帰戦。調整と連係の不足は覚悟の上。感慨にふけるどころか「42歳だからって、前線のプレーでは負けない」と全身に闘志をみなぎらせた。

 後半27分、味方の右クロスに駆け込むと、DFとの空中戦を高さで制してヘディングシュート。3トップの真ん中から中盤の位置へ移動してパスの供給源になれば、ロスタイムには再び、最前線で左クロスに頭から飛び込んだ。真新しい番号「28」を背負って、貫禄(かんろく)の違いを見せつけた。

 5月末に「ベンチからでは声が届かない。選手と一緒に戦い、ピッチで指導したい」とコーチ兼アマ選手での現役復帰を希望。監督、選手も受け入れた。若いころは疎遠だったジムで自主トレに励み、プロテインやアミノ酸飲料を口にした。体重は、92年から12年間在籍してJ1昇格に導いた東京時代と変わらない。

 戦いの舞台こそ異なるが、J2横浜FCのFWカズより誕生日が4カ月ほど早いアマラオが、全国リーグの現役最年長選手となった。「あくまでコーチが仕事なので、選手としての目標は立てない。でも、サッカーは面白いね。カズや中山(磐田)も頑張っている。スタメンで出られるようになりたい」。「キング・オブ・トーキョー」が、新たなストライカー人生を歩み始めた。【山下健二郎】