<J1:浦和2-1広島>◇第17節◇11日◇埼玉

 浦和FW高原直泰(30)は、ワンプレーにかけた。1点を追う後半23分。味方のクリアを信じて、ハーフライン付近の空いたスペースで待った。期待通りのボールが足元に収まると、ゴールへ向かって猛然とドリブル。左前方に走り込むエジミウソンを視野に入れつつ「(広島のDF)ラインとエジが出るタイミングを見計らって」パスを出した。同僚の同点弾が突き刺さると「ワンチャンスで点を取れたことで、チーム全体が攻撃に動きだした」と確信した。

 神戸、山形戦と2試合で3得点を挙げ、この日も反撃の同点アシスト。試合開始直前に先発予定だったDF坪井が故障で欠場し、序盤から広島の猛攻に苦しんだ試合で、攻守に身を粉にして貢献した。前線からの守備で相手の出足を遅らせれば、後半29分にはペナルティーエリア内にドリブルで切れ込み、ファウルを誘ってPKを獲得。エジミウソンが失敗して追加点こそ奪えなかったが、敗色ムードを一掃してみせた。

 日本代表の岡田監督が直接視察に訪れた「御前試合」。W杯予選出場というシーズン開幕前の目標を達成できなかっただけに結果が欲しかった。だが「誰が見に来たからといって、特別なことができるわけではない。この1試合で(W杯メンバーが)決まるわけでもないですから」と平常心を心掛けた。本当の勝負は、1年後。今はクラブで貢献し続けることに集中している。

 浦和フィンケ監督は「アシストをできるFWは、得点できるFWと同じ価値のある選手だと思う」と評価を高めた。高原を原動力にリーグ3連勝を飾り、順位も2位に再浮上。首位鹿島の追撃態勢が、整いつつある。【山下健二郎】