打倒広島の切り札は、ベンチ外にいる!

 J1山形DF西河翔吾(26)が、30日に対戦する広島の特徴をチームに伝え、勝利に貢献する。7月に期限付き移籍し、古巣との対戦に燃えていたが、19日の東京戦で右足首をねんざした。戦列を離れているが「臨時分析官」として、チームを支えるつもりだ。西河の情報をインプットしたイレブンが、勝ち点3をもぎ取る。

 まだ患部がうずき、28日に歩行練習をはじめたばかりの西河が、この試合にかけていた思いを口にした。「マジで悔しいっすよ。本当に広島戦だけは、マジで出たかったですよ」。出場機会に恵まれず、山形への移籍を決断した西河は、完封で恩返しを果たすつもりだった。

 恨めしそうに、固定されている右足首を見つめながら、西河がポツリとつぶやいた。「(広島FW佐藤)寿人さんとかの特徴を(DF小原)章吾には伝えてあります」。戦線離脱に落ち込んでいる外見を装いながら、打倒広島の闘志は、全く消えていなかった。日本トップクラスのFWを「絶対に視界に入れておけ」と相棒に対策を伝授していたイケメンは、敵の戦意をも奪うような笑顔を見せた。

 「臨時分析官」西河のマル秘情報は、小林監督の必勝プランにも採用される。小林監督は「直接(西河からは)聞いてないけど、長島ヘッドコーチがいろいろ聞いたみたい」と明かす。その情報を伝え聞き、広島の試合をチェックし直した指揮官は「なるほどって思うところがありました」と、不敵な笑みを浮かべた。

 「これまでも対戦しているから、それぞれの感触はあると思うけど、実際にそのチームにいたからこそ、分かることもある」と話す西河。情報を発信しすぎて、仲間を惑わさないように「積極的にこっちから言わない代わりに、聞いてきたらなんでも話す」と闘志メラメラだ。「ぼくは、山形の一員ですから」と明言する西河の思いもパワーに、モンテ戦士が勝ち点3を引き寄せる。【山崎安昭】