ピッチでの情報漏れを、シャットアウトする。J1山形小林伸二監督(49)が8日、アウェーで戦う13日の浦和戦で「伝言ゲーム」方式で選手に指示を送る考えを示した。浦和サポーターの大声援で、指示が伝わらないリスク回避の意味もあるが「相手に戦術がばれる」(同監督)のを防ぐため、これまでの“絶叫調”を封印。少しでも優位な展開に持ち込み、勝ち点奪取をもくろむ。

 絶叫したい気持ちをグッと抑え、ピッチ脇で戦術を耳打ちする。指示を受けた選手は、即座に近場の選手に駆け寄って伝達。これを繰り返し、相手にゲームプランを悟られない-。小林監督は「セットプレーや、けが人が出てプレーが止まった時に、近くの選手を呼ぶ。相手にばれないようにするのも、うちは大事」と説明した。

 J1で優勝争いをした05年のC大阪時代に「何度か(伝言ゲームを)して、良かったイメージがある」という。普段から「情報がないのは、不気味だよ」と話す指揮官が、浦和戦でそれを実行に移し、相手を混乱させる腹づもりだ。

 今季、埼スタでの浦和戦は、1試合平均の観客数が4万6648人と、JリーグNO・1の動員を誇る。「(浦和の声援で)叫んでも聞こえない」と物理的な理由を口にする一方で、指揮官は「この後、下位との直接対決もあるから(指示が)ばれないというのは重要になってくる」と表情を引き締める。J1で過去2クラブを指揮し、自らの引き出しに納めていた残留への「秘策」を、試運転するつもりだ。【山崎安昭】