「左のスナイパー」が残留の切り札になる!

 J1山形DF石川竜也(29)が、攻撃的MFで起用されるプランが9月30日、分かった。本職は左サイドバック(SB)だが、小林監督は石川の守備負担を減らし、チーム随一の攻撃力を生かす構え。守備力が高いDF小林を左SBで先発させて守りを固め、ゲーム終盤の勝負どころで石川を投入する。

 慣れ親しんだ最終ラインの2列前が「左のスナイパー」の新たな仕事場だ。小林政権下でこの日初めて、石川が左サイドハーフで戦術練習をこなした。「鹿島時代にやったことがあるから、できないわけがないでしょ」という通り、高い位置でピンポイントクロスを入れまくる。自らゴール前に顔を出してはパスを要求し、ボールを簡単にゴールへ入れ続けた。

 石川の2列目起用を、2年越しで温めていた指揮官も、目を細める動きだ。「この前(9月26日の千葉戦)も、入っていきなりアーリークロスを入れたり、相手は嫌だったと思う。相手がへばったところで(途中から)出る方が、タツ(石川)のストロングなところが出る。右(サイド)で使えば、切り込んでシュートも打てる」と、スーパーサブ起用の継続を示唆した。

 セットプレーのキッカーも務める「攻撃の柱」を、ベンチ待機させる理由がほかにもある。小林に比べれば守備が劣る、石川の左サイドが狙われる場面が増えた。「タツが高い位置に上がれなくなり、周りもカバーに引っ張られる」と指揮官。1点が命運を分ける残り7試合で手堅く勝ち点を積み上げるためにも、まずは“スナイパー温存”から入る。

 チームの得点のために全力を注げ-。指揮官の意図を、石川も理解済みだ。夏場から首や背筋を痛めて、満身創痍(そうい)で戦っているため、短時間の方がプレーの精度が増すはずだ。「ボクが出るまで、0-0の時間を長くしてくれれば、フフフ」と、にやつく石川。J1残留へ少しでも前進させる仕事を、きっちり果たす。【山崎安昭】