不況の影響で親会社が今季限りで運営から退くサッカーJFLのTDK(秋田・にかほ市)を母体とし、来季からプロクラブとして始動する「ブラウブリッツ秋田」(運営会社=秋田フットボールクラブ株式会社)と、東北社会人1部「FC秋田カンビアーレ」が“合体”することが6日、分かった。独立したまま、両クラブにまたがる「強化システム」を構築する。ともにJ参入を目指すクラブがタッグを組み、秋田からJクラブ誕生を実現する。

 険しいJ参入の階段を、肩を組んで上る。実業団からプロに生まれ変わる、ブラウブリッツの外山純社長(60)は「県全体がまとまらないとJ(参入)は達成できない。そういう環境整備に全力を注ぐのが私の仕事」と決意を語った。同社長がいう環境整備が、カンビアーレとの“合体”だ。

 カテゴリーが下のチームとの単なる合併では、総合力は上がらない。また、秋田市周辺で生活し働く選手を、ブラウブリッツの練習拠点(にかほ市)に呼ぶのは「物理的に無理」(カンビアーレ関係者)。そこで両クラブが会議を重ね、早ければ今オフから実施するのが「独立2クラブ間強化策」だ。

 アマチュアのカンビアーレに、これまで不在だった他県のプロ志望選手も所属させ、経験を積ませながら実力を測る。認められればブラウブリッツへの“トップ昇格”となる、プロ予備軍にする形だ。純地元のチームに新風が入ることで、カンビアーレのレベルアップは確実。一方、ブラウブリッツにしても戦力補強の場になるだけでなく“下部組織”からの突き上げがJ参入への推進力になる。

 両クラブ関係者が「J1千葉と(JFLの)リザーブズのようなイメージ」と説明する強化システム。両クラブが、スポンサー獲得競争で共倒れしては、あえなく夢に終わる-。そんな経済事情も、タッグ提携の一因だ。同社長は「狭い地域で競争ではなく、一緒にやりたい。J参入は、それだけ難しいこと」と表情を引き締める。秋田からJへ-。目指す方向は両クラブとも同じ。結束力という地方ならではのパワーで、夢を実現する。【山崎安昭】