<J1:浦和1-0東京>◇第31節◇8日◇味スタ

 浦和が来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)挑戦権争いに踏みとどまった。上位陣の結果次第で数字上でも優勝の可能性が消え、ACL出場圏内の3位も絶望的となる一戦で、ナビスコ杯王者の東京に完封勝ち。フィンケ監督は試合後、開口一番「すべての選手が戦う姿勢を見せてくれた」と言葉に力を込めて言い切った。

 前節大宮戦は3失点で完封負け。試合後、無気力な戦いを抗議したサポーターに橋本社長が直接説明し、その間に選手も約1時間半、バスの車内で待機する事態となった。7日には、さいたま市内の練習場に「ガッツを出せ」といった横断幕も掲げられた。左内転筋痛を抱えているDF闘莉王は「どのチームにもまねできないのが浦和のサポーター。全力で勝つしかない」と自主的に3日のナビスコ杯決勝の映像で東京を分析してフル出場した。

 1点リードで迎えた後半8分にFW原口が2度目の警告で退場。数的不利となり、相手に倍以上のシュートを浴びながら、全選手が体を張って守りきった。フィンケ監督は「シンパシーを感じる相手に勝てた。価値ある試合だった」という。パスサッカーの熟成度では力の差を見せつけられたが、ACL出場権獲得へ、失われつつあった勝利への貪欲(どんよく)を取り戻した。【山下健二郎】