<天皇杯:清水3-2新潟>◇12日◇準々決勝◇アウスタ

 J1清水が新潟に競り勝ち、決勝に進出した05年度大会以来4年ぶりのベスト4進出を決めた。FW岡崎慎司(23)と、FWフローデ・ヨンセン(35)の今季4度目のアベック弾で優位に立ったが、土壇場の後半43分に同点とされ延長戦に突入。同前半14分、DF児玉新(27)が決勝点を決め、シーソーゲームに決着をつけた。29日の準決勝(エコパ)で、13日に行われる名古屋-岐阜戦の勝者と決勝切符をかけて戦う。

 勝利への執念が、タイトルへの思いが、ACLへのあこがれが、新潟のゴールをこじ開けた。2-2で迎えた延長前半14分、FKのこぼれ球をMF枝村が頭でゴール前に入れた。児玉が左足を出すと、ボールはコースを変えてゴールへ。この日、相手にPKを献上した守備の要は「これで帳消しですね」と喜んだ。

 負けられなかった。今季目標にしていたACL出場権獲得。残るチャンスは天皇杯優勝だけだ。後半9分に相手が10人になっても、なかなかゴールが奪えず。後半41分に勝ち越したが、2分後に追いつかれた。延長戦でも決着がつかなければPK戦。そうなれば、数的有利も関係なくなる。

 長谷川監督は長身191センチの長沢に続いて元日本代表の永井も投入した。4人のFWを並べてゴールを目指した。「攻める」気持ちが選手に伝わった、決勝点をあげたのは、4月のリーグ浦和戦でプロ9年目で初得点した児玉。「(プロ)2点目が早すぎた。これじゃあ量産してる感じですよね」と笑う児玉に「伏兵がよく決めてくれた」と長谷川監督は目を細めた。

 9月27日の神戸に勝って以来、リーグ戦は2分け5敗。長いトンネルから抜け出した。長谷川監督は「疲れた。やっとJ1に勝てましたね。選手たちは最後までよくやってくれた」と、ロスタイムを含めて130分戦った選手を絶賛。「あと2試合、しがみついてでも勝ちたい」と、8年ぶり2度目の天皇杯制覇を目指して言った。

 岡崎は疲労をためながら先制点をヘッドで決め「ACLに出たいという気持ちは強い」と言った。頭で2点目をたたき出したヨンセンも「全力でプレーできれば、優勝の可能性はある」と自信をみせた。失速したリーグ戦終盤から息を吹き返して、清水が来た。「ここまで来たら、優勝しかない」。エース岡崎は、選手全員の気持ちを代弁する言葉に力を込めた。