<Jユース選手権(日刊スポーツほか主催):東京2-0広島>◇27日◇決勝◇長居

 東京が「和製C・ロナウド」の活躍で広島を破り、2年ぶり2度目の優勝を飾った。前半26分、U-18(18歳以下)日本代表のFW重松健太郎(3年)がポルトガル代表C・ロナウドばりのブレ球FK弾を決めて先制点を奪う。後半35分にはMF三田尚央(3年)が追加点を奪って勝負を決めた。06年決勝戦で苦杯をなめた広島にリベンジを果たし、頂点に立った。

 狙いすました一撃だった。ゴール前中央約25メートルのFK。東京のFW重松が右足を振り抜く。まるでC・ロナウドのような弾道だ。激しくブレたボールはGKの手を弾き、そのままゴールネットに吸い込まれた。エースの先制弾で勢いづくと、その後も広島を圧倒し、後半35分に追加点を奪った。「FKは狙い通り」という重松は「高校最後の大会でタイトルを取れてよかった」と胸を張った。

 中学3年で東京のジュニアユースだった06年、広島-東京のJユース杯決勝戦をスタンド観戦した。広島に負けて泣いた先輩の姿に胸を打たれた。「いつか、自分もこの舞台に立ちたい」。07年の今大会初優勝は、東京・中野区の自宅で知った。遠征メンバーにも選ばれず「試合に出られなくて悔しかった」という。自分の武器を磨こうと、ブレ球FKを連日練習前後にそれぞれ30分。地道な努力がついに実った。

 10月にはトップの練習に参加。城福浩監督(48)に「自分がボールを奪おうと力まなくていい。相手のパスコースを限定していけば、味方がボールを奪ってくれる」と言われ、目からうろこが落ちたという。テクニックで勝負するFWだが、泥くさいプレーの大切さも学んだ。この日も得意の攻撃だけでなく、前線から献身的にボールを追って、完封勝利にも貢献した。

 来季からはDF平出涼(3年)阿部巧(3年)とともにトップに昇格する。U-18代表でもエース格。近い将来、東京のレギュラーとなり、日の丸を背負ってプレーすることが目標だ。「トップには石川さん、羽生さん、平山さん。素晴らしい選手が多い。自分にとってはライバルになる。試合に出られるようにアピールしたい」。和製C・ロナウドは、次はJ1で大暴れする。【奈島宏樹】