ツネ様が、大久保が、神戸市民の思いを背負って戦う!

 神戸イレブンが阪神・淡路大震災から15年の17日、新たな誓いを立てた。練習開始前のミーティングで震災当時のVTRを見た後、グラウンドでは約1分間、見学に訪れたサポーターとともに黙とう。選手たちは、神戸復興とともに歩んできたクラブの歴史をあらためて認識し、今季こそ躍進すると胸に刻んだ。

 神戸の選手には使命がある。阪神・淡路大震災から15年の節目。ただ、サッカーをするだけではない。震災が起こった歴史も背負って戦わなくてはならない。チームの顔であるDF宮本恒靖(32)は「神戸で生活して1年がたち、もっと震災について深く考えたいと思った。自分たちがプレーすることで、神戸の街の力になりたい」としみじみ言った。

 練習開始前には地震が起こった当時のVTRを選手全員で見た。宮本は当時高校3年で、大阪・河内長野市の自宅にいた。「神戸にいた姉の友人が震災でなくなった。(G大阪所属だった)95年の11月に神戸で試合をしたけど、まだ街にがれきが残っていることに衝撃を受けたのを覚えている」と神妙な表情で振り返った。

 自分たちが今、生活しているなじみの場所が、がれきの山となっていたことにショックを受けた選手も多い。FW大久保嘉人(27)は「本当に悲惨だと思った。ビデオを見て実感できた」。選手会長のMF田中英雄(26)は「15年の節目だし、震災で被害にあった方を試合に招待することも考えている」と明かした。

 1995年1月1日にヴィッセル神戸に改称。1月17日は、神戸市内で初のチーム練習を行う予定だった。当時はJFLで、神戸市内での練習場が日々変わる厳しい環境でプレーしていた。それから15年。宮本は「神戸の一員として、もっと市民の人とともに歩んでいきたい。最低ひとけた順位を目指したい」。リーグ戦の最高位は10位。節目の年にまずはクラブの歴史を塗り替え、さらなる前進のきっかけとするつもりだ。【奈島宏樹】