やっぱり日本代表には遠藤が必要だ。前半はトップ下でプレー。ゴール前へ飛び出し、チャンスをつくろうとガムシャラに走った。後半は本来のボランチでプレーし、独特のリズムでパスを散らした。FKの精度を欠くなど絶好調ではなかったが、大敗の中で存在感は示した。

 遠藤

 前半は1トップを孤立させないように意識した。久しぶりに(トップ下)をやったが、違和感なくできた。ゴール前へ走り込んだり、工夫してチャンスをつくろうとした。でも、決定機は少なかった。

 岡田監督は疲労の蓄積が心配される遠藤の起用について「時間限定」としていた。だが、3点をリードされる展開で「日本の心臓」を早く交代させる余裕はなかった。後半36分にDF槙野と交代。4日のリーグ磐田戦と合わせて、4日間で2試合計171分プレー。少し復調気配を見せた。

 遠藤

 岡田監督は皆さんの前で「時間限定」と話したかもしれないが、自分には何も言わなかった。90分出るつもりでプレーしたし、やれる手応えもあった。

 疲れを取ろうと工夫した。合宿中も部屋の湯船で半身浴をしたり、あえて10分以上の長風呂につかった。G大阪の西野監督と岡田監督が試合前に会談し、遠藤の体調について話し合った。だが、予想より高いパフォーマンスを見せたことは、敗戦の中の微かな光となった。「W杯まで時間がない。何となくボールを動かすのではなく、もっと狙いをはっきりさせないといけない」。冷静に熱く遠藤はW杯本番を見据えた。【奈島宏樹】